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【映画】・「片腕マシンガール」

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監督・脚本:井口昇

忍者の末裔にして暴力団の組長の息子に弟をいじめ殺された女子高生が、復讐のために切り落とされた片腕の代わりにマシンガンを付け、人をとにかく殺しまくる血みどろ復讐映画。

サービス精神旺盛でけっこう面白かったですが、どうもベースとなっているジャンル映画としてのおとしどころがよくわからない。というのは、私がマカロニ・ウェスタンとか日本の残酷時代劇とかをたくさん観てきたわけではないから、だと思います。私の知識不足ですね。

で、たとえば藤田敏八の映画「修羅雪姫」みたいな復讐ものだと思って観ると肩透かしを食らうわけで、それはこの映画が全般的にスプラッタ映画のメソッドでできているからではないか、と考えてみました。

どういうことかというと、スプラッタ映画というのは基本的に「人間」に冷淡で、人間をモノ扱いして破壊することによって背徳的な爽快感をもたらすものだと思うんですが、本作のプロット全体が「肉親を殺された者の復讐」をもマテリアルのひとつとして扱うような感じになっているんですよね。

だから本作はいちおう復讐モノとしての筋を通していますが、ヒロインにも敵にも「肉親の情愛」があることを示してしまっている。かといってそれがテーマなわけでもないんですね。
肉親の情愛も素材化されてしまっているから、ヒロインの復讐に対する大義名分も途中から相対化されちゃうんです。
後に残るものと言ったら、ひたすらに敵も味方も血みどろになって人体を破壊し破壊される、そのことのみの爽快感なわけで、これは私の考える復讐ものというよりは、やはりスプラッタ映画とか、あとゾンビ映画とかの残酷ギャグを意識しているのかなあ、と思いました。

本作が、復讐ものとしてのカタルシスに重点が置かれているとしたら、敵の大ボスクラスがあそこまでアッサリやられることはないと思うんですよ。
というわけで、私の好みの映画ではあまりないんですが、ただ面白いことは面白いです。「復讐もの」というより、人体破壊映画なんですよねこれは。あと繰り返しになりますが、プロットがかなり強烈に、そして冷徹にいろいろ皮肉ってます。

ただし、こういう映画にとって重要なヒロインの潔癖性、戦いの中の美しさといったものは救い出されていますので、観た後かなり奇妙な感じに襲われました。
こういうの見慣れている人にとっては当たり前の映画かもしれないけど、私にとってはかなり不思議な作品でした。

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