【映画】・「インクレディブル・ハルク」
監督:ルイ・レテリエ
脚本は主演のエドワート・ノートンが描いているというが本当か?
話題性としては(ネット上のオタク・サブカル界隈では)「ダークナイト」にちょっと持っていかれてしまった感があるが、ウェルメイドな作品としてはとんでもなくクォリティが高い。
まあ、金がかかっているだろうから空撮がどうだとかCGがどうだとかって話はここではおいておいて、何より脚本の出来がいい。
もともと、ハルクってのは私の乏しいアメコミ知識からすると、その誕生当初から「アメリカ人の核や放射線に対するやや軽めの期待と恐怖」を担っていた。
(何か、戦後の一時期核エネルギーに対する無責任な期待がアメリカにはあったようだと、被爆国の日本人からみると思うんである。)
しかも、1982年にはそこらへんの恐さを描いた映画「アトミック・カフェ」[amazon]も公開されている。アメコミの方ではその後、時代に合わせて設定にも微調整が行われているらしいが、どちらにしろ最初の設定のちょっと古臭い感じは否めない。
そこを、取り立てて強烈な風刺性もなしに、今観てもおかしくない物語にしたてあげるというのは生半可な気持ちでは無理だと思う。正直、こういうところ、日本は本当に勝てないよなあ。
もちろん、「ハルク」の基本設定が核時代の産物だったとしても、このコミックの強みは「ジキルとハイド」および「フランケンシュタインの怪物」という超古典的な要素が入っていることだ。だから、時代性を感じる「なぜブルースはハルクになったのか?」をオープニングで豪快にすっとばしたのは大正解。
もっとも、ハルクとなる青年の誕生前からダラダラ描いたアン・リーの「ハルク」に対するあてつけだったかもしれない。
私が感動したのは、ハルクが恋人をかかえて洞窟に入り込み、とどろく雷鳴に向かってほえるシーン。
何で感動したのかは観てわかってほしいが、こういう演出がひとつでもあると、映画は締まる。
娯楽映画としては、ちょい庶民的なレストランでいちばん高い食い物をたらふく食ったという感じで、デートに行こうとしている高校生なんかはぜひ観に行くといい。まあ、「ポニョ」観て変な雰囲気になるのもオツかもしれないけどな(笑)。
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