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「聖☆おにいさん」(1)~(2) 中村光(2008、講談社)

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モーニング・ツー連載。
イエスとブッダが天界から休暇をもらい、地上の日本の立川で、アパートをルームシェアして暮らしている。
毎月天界から振り込まれてくる少ない給与で、めいいっぱい地上での休暇を楽しもうとするイエスとブッダの日常を描いたまったりギャグマンガ。

ずいぶん前からあちこちで評判は聞いていたんだけれど、今頃読む。

別に深読みを要求するようなマンガじゃない。
というか、あらかじめ深読みを拒否しているからこその面白さがある。

本作はあくまでもイエスとブッダの、日本での日常を描いているんだけど、その背景には彼らの人生や、神としてはどうすごしているのかという世界観が存在している。

今のところ、その描写が絶妙に機能していると感じるんですよね。
深くはないけど、思いつきで描いたというほどひどくはない、その微妙なバランスが面白い。

たぶん、マーベル・ヒーローというかX-MENみたいに、天界にはいろんな神々がいるんでしょうね。でも、他の神は今後も出さないでほしい。あんまり裏の世界観を出しすぎると、なんかガチャガチャしちゃうと思うんで。

このマンガ、そんな意図は送り手にはないんだろうけど、「神、あるいは聖人と一般人」の関係が、「神、聖人→一般人」というのではなく、もしかして非対称に、個別に存在しているんじゃ? と思わせる(って、そんなこと私しか思わないか……)ところが興味深いです。

要するに、イエスもブッダもものすごく人間を下に観ていたりするわけではない。すごくフレンドリー。科学技術も評価してるし。
で、「どうして戦争がなくならないのか」とかについても、ちょっと思ってるらしいけど、
このマンガでは神々が完全に人間を制御しているわけではなく、なんかサポートセンターみたいな感じなんじゃないですかね。

人間がいるから神がいる(あるいはその逆も)、という感じではどうもないところが、風通しのよさを感じて心地いいんでしょう。

ま、ぶっちゃけるとたぶん一般的な八百万の神々的というか、吾妻ひでおの「オリンポスのポロン」的なんでしょうが、あくまでもそこは裏設定で、全面に出ないのがいいんですよ。

こういうマンガは刊行ペースもゆっくり、まったり楽しめるのが望みです。変に週刊連載とかにはならないことを願います。

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