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・「幽霊クラスメート(悪魔のおとし子)」 大内清子(1984、ひばり書房)

Yureikurasu
夜中に突如、かわいい妹・神(しん)から「おまえを殺す!」と言われた兄・良は、神(しん)が悪魔ではないかと疑い始める。その疑惑はどんどん真実ではないかと思われるようになっていく……。

「まんだらけ」などの古本ホラーコーナーに、今のところほぼ必ず、200円くらいで入っている本作。実はものすごく変なストーリーなのだが、説明が面倒なのでそれほどカルト的に話題になったわけでもない。
しかし、どこかあらがいがたい魅力があるのも確かで、ネットで作者について検索してみた。

すると、貸本時代から学園ものなどを書いてきた人らしい。そしてこの人の「赤いリボンの歌」という作品についての、まんだらけの紹介ページを見てハタと膝を打った。

この近所に住んでいたミミちゃん(本名=美紀子)のちょっとドキドキするくらいの距離感に踏み込んでくる娘という性格設定と、小学2年生から中学2年生に成長する様が妙なキラキラ感を持って描かれているところが素晴らしくいやらしい。

この作者=大内清子が男か女か?論点はそこに尽きる名作。


なるほどそうだったのか! ……どういうことかというと、「幽霊クラスメート」でいちばんの魅力は「悪魔かもしれない」妹の神(しん)にあるからである。

これは、ただ単に「萌え」概念確立以前のマンガを読んで「ちょっとこのキャラ、萌えない?」といった見立ての話ではない。

作品冒頭、夜中に悪魔と化した神(しん)を止めようとした良は、両親から「兄が妹に抱きついている」とカン違いされる。父親などは、「良! お前も年頃なんだなあ お前の気持ちよくわかる ヒヒヒヒ」などと言ってくる。オイオイ……。
ちなみに良は中学生、神(しん)は小学校低学年である。最初から、妙に近親相姦的なシチュエーションから始まるのだ。

その後いろいろあって、その「いろいろ」もそうとう狂っているがここでは省略する。
私が心を許して「本当の友人だ」と思った人にだけその内容を話すことにする(まあ、本自体がそんなに手に入りにくいわけじゃないんだが)。

そしてラストも、神(しん)がいたずらっぽく良の唇にキスをしているところを親戚の少年に見られてしまい、
「兄妹で何やっているんだ!?」と怒られてしまう。

絵は確かにあんまりうまいとは言えないが、「キャラ立ち」ということで言えば神(しん)の小悪魔的な魅力が本作を支えている要因のひとつになっていることは間違いないのである。

ひばり書房の作品だから、いつ描かれたのかがよくわからないのだが、「ゲームを貸してあげる」という描写があるから80年代以降かもしれない。そうなると、すでに少年ラブコメのブームが起こっているから作品としてはまあ普通かな、ということになるのだが、前述の「赤いリボンの歌」は貸本だから確実に70年代かそれ以前に描かれた作品だろう。

もちろん、少女向けだっただろうから、他に類似の作品がなかったとは言わない。しかし、私が「幽霊クラスメート」を読んで感じた「なんかこの女の子、かわいいな」という感覚は、おそらく「赤いリボンの歌」で70年代にもそのままなのだろう。
しかも、男が読んで「いやらしい」と感じる描写だったというのは、確かに描いている人間が「男か女か」がとても重要な問題として浮上してくるのである。

男が少女マンガを描くことはある時期まで珍しくなかったが、変な話、「男が読んでいやらしいと思う少女マンガ」を描く作家となると、グンと減るはずだ。
もし大内清子が男だったとしたら、村生ミオなどの80年代少年ラブコメ作家にずっとさきがけて、「男が読んでいやらしいと感じ、萌えを感じてしまう作品」を描いていたことになる。

なおかつ、それは滅んだ先史文明のような存在となるのである。

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