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【架空】・「脳内合コン」完結編

これの続き。

これまでのあらすじ。合コンをするために、ブタ山くんと鈴木山くんと白木屋の前で待ち合わせた私。しかし、人体発火現象によってブタ山くんは焼きブタに。合コンが始まる前に、早くも一人メンバーが減ってしまった! どうする、俺。

「ど、どうしよう……」
焦る鈴木山くん。手に持ったむずかしそうな幻想文学の本が、ブルブル震えている。

「ひらめいた!」
私は言った。そして、サラリーマンが会社でプレゼンするときなどに使う、伸びるボールペン。あれをカバンから取り出した。
これを伸ばし、ノートを破いて紙に顔を描く。そして、それをメンディングテープでボールペンの先に取り付ける。

「名づけて『ボール ペン夫』の完成だ!!」

鈴木山くんも、キャッキャキャッキャ言って喜んだ。

しばらくすると、女子三人がやってきた。

一人は、瀬戸朝香(似ているという意味ではなくて、本人)。
一人は、伊藤美咲。
そしてもう一人は、アミン大統領。

ブタ山くんが、アミン大統領とツテがあったので実現した合コンである。
アミン大統領は、化粧になれていないらしく何かおかしかったが、それがまた初々しかった。

店に入り、テーブルにつく。八人くらい入れる、座敷だ。
「何飲む? 生ビール頼む人!!」
鈴木山がこの場はリードしてくれるらしい。本当はブタ山の役目だったが、彼はすでに焼きブタ。ヘタをすると近所のラーメン屋でチャーシューとして出されている可能性すらある。

私はこの光景を観て、戦場で頼りになる上官が死に、必死でその役割を担おうとする兵士を連想した。

瀬戸朝香「私、アセロラドリンク。」
伊藤美咲「私、青汁。」

二人ともすごく機嫌悪そうだ。
ノリもよくない。

アミン大統領だけが、
「私、わたし、赤汁サワー!!」

赤汁? そんなのあるのか、と思ったら、あった。
アルコール度数は120パーセント。

ボール ペン夫は、ただの身代わりで酒は飲まないが、いちおうコップだけ店員さんに注文した。

飲み物が行き渡ったので、乾杯。
鈴木山くんが言う。
「じゃあ、自己紹介しようか」

しかし、そう言ったとたん、瀬戸朝香が怒り出した。
「何言ってるの? 私は天下の瀬戸朝香よ。自己紹介なんかしなくても、わかるでしょ」
伊藤美咲も、
「そうだよそうだよ、ソースだよ! うまい焼きそば、ソースだよ!!」
と、瀬戸の尻馬に乗って言ってきた。
それにしても、伊藤美咲ってふだんはこういうノリなんですね。

「えっ……じゃあ……男性陣だけでも自己紹介しようか」
鈴木山が、私に視線を向けてくる。
鈴木山が、自己紹介をしようとして立ち上がったその瞬間!!

戸がガラッと開いた。
ブタ山であった。

「おまえら、おれが来る前に勝手に始めるなよ!」
なぜか生きていたブタ山。
これがシュールってやつ?

「うるせえ!」
鈴木山が言い返す。

「なんだと」
「バカヤロ」
「ブタ!」
「サル!」

二人は取っ組み合いの大ゲンカ。組み合っているうちに、瀬戸朝香の方に倒れこんでしまう。

「ちょっと、やあだー。何すんのよー」

その言い方があまりにムカついたのか、生命を得た「ボール ペン夫」が、ボールペンの先端を瀬戸の耳につっこんだ!!
「キャー」

瀬戸はボールペンを掴んで引っこ抜き、畳にたたきつけた。

ボール ペン夫の、紙に書かれた顔が言った。
「傲慢な人間は……いつかひどい目に会いますよ……みなさん……短いけど楽しかったです……ガクッ」

「ちょっとちょっと、やめようよ!!」
伊藤美咲が止めに入った。

ワイワイ言ってるうちに、私はオシッコがしたくなって外に出た。

オシッコしているうちに、なんだか焦げ臭くなっているな、と思ったら、今までいた座敷の隣でボヤが出たらしい。

私は、その場にいた全員をほっぽって逃げた。
ボヤはどんどん広がり、大火事になってしまった。
消防車が出動し、周囲は大騒ぎ。

家に帰ってテレビをつけると、火事の報道はしていたが瀬戸朝香と伊藤美咲がそれに巻き込まれたということはいっさい報じられていなかった。
っていうか、何ごともなかったかのようにテレビに出てた。

夢だったのか? と思ったが、アミン大統領が日本近海に人工島をつくり、そこに王として君臨していることがわかり、号外が出た。
アミン大統領は、日本について聞かれ、合コンが楽しかった、と語った。

しばらくして鈴木山から電話がかかってきて、「逃げた」と非難された。
私は「逃げたんじゃないよ、前向きな生き方だよ」と言った。

ブタ山は、現在、ブタ山研究所の所長として、年商五億円稼ぎ、上品で金持ちの女性と結婚した。
(完)

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