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【ポエム】・「願望充足ポエム」

昭和三十年代。
架空の昭和三十年代。
ボクの考えた昭和三十年代。

日本にはまだ人情が残っていた。

「そのハンバーグ、残すなら私が食べてあげましょうか?」

「最後の楽しみなんだよ!!!!!」

親切という名のおせっかい。
それが町にあふれていた。

「あなたのお財布の中のお金、代わりに使ってあげましょうか?」
「自然破壊を防ぐために、電線をハサミで切っておきましょうか?」
「外国のファッションショーの、うっすら乳首が見える薄い生地の服を着ているモデルを、注意してきましょうか?」

すべてが、すべてがおせっかいなんだよ!!
ほっといてくれ!!

私は叫んだ。
町は静かになった。
静かになりすぎた。

アコーディオンをかなでるピエロも、
剣を呑んで見せる大道芸人も、
組体操をする身長二メートル近い謎の男たちも、

すべていなくなっていた。

清涼飲料水の自動販売機は、飲料の販売を中止し、
代わりにタンスが地震で倒れないようにするための、ストッパーの販売を開始。

きらびやかなネオンはすべて禁止され、
代わりにすべての店舗で、くさやの干物を焼くことが義務づけられた。

そんなディストピア小説を、
石原しんたろうが書いたらいいな。

原作は私で。
(完)

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