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【雑記】・「むかしの方がきつかったに決まってます」

Mがいた時代(大石英司の代替空港)
言っていることの9割は同意します。が、最後のところの、

* までも、個人的に感じるのは、あの事件はバブルの最後の頃ですよ。バブルの徒花というか、ああやって引きこもった生活をしていても、とくに老後の不安とか感じなく暮らせた。今みたいに、それが世間から指弾されることもなければ、本人が焦ることも無かった。ただ家族の世間体がそこにあるだけで。

いやいや、そんなことはないでしょう!!
どう考えても、昔の方が世間からの指弾はありましたよ。
そもそも「世間から指弾されることもない」って書いた後に、「ただ家族の世間体がそこにあるだけ」って矛盾してませんか?
最大限に好意的に解釈すれば、「世間から指弾されることはないのに、家族は世間体を気にするという、感覚のズレが生じていた」とも読めますが、当時の状況を思い出してもそんなことはありませんでしたよ。

宮崎勤は、「幼女を殺害した」ということを除いても、「独身だった」、「定職を持っていなかった」ということをものすごい糾弾されてましたよ。当時25歳くらいでしょ。それでもマスコミレベルではすごい非難されていた記憶がありますね。

当時の新聞記者がものすごくおおざっぱに言って40歳だとして、今は60歳。35歳だとしても55歳。現在、50代後半から60代の人の「定職」や「婚期」に対する考え方を想像してみれば、宮崎勤という男のプロフィールが、少なくとも井戸端会議レベルでは非難されがちであったということは、ちょっと考えてみればわかるでしょう。

より詳しく説明すれば、(ミヤザキがどう思っていたかは別として)バブル期の若者の不安というのは、ぶっちゃけてしまえば「この運のいい状況を、オレは最大限使えるか?」ということだったと思います。だから、普通にしていれば一流企業に就職できたのに、「もっといい何か」があるかもしれないと考えて別の道を行き安定した生活を棒に振った人もたくさんいます。
いわゆる「自分探し症候群」みたいなものも、バブル期には「チャンスをどう活かすか」というふうに解釈されていた。というところから考えないと、(直接「自分探し」の話題をしているのではないけど)、そっちも見えてこなくなってしまいます。

宮崎の話に戻れば、確かあそこは町の名士的な家だったから世間体も気にしていたでしょうし、地元民も息子の境遇には興味があったのでは? ちなみに、宮崎の父親は、確か広告だけを集めた新聞みたいなものをつくっていて、世間体のためか宮崎にそれを配布する仕事(午前中くらいですぐ終わる)をやらせていました。

人間、フラフラするのにだって理由はいるわけで、バブル期にフリーターで、なおかつ何も考えていない部類の人でも「夢を追う」ということを言い訳にしてた(もちろん、本気の人はここでは別です)。
でも、まったくのウソという人はたぶんほとんどいなかった。「もしかして……」という気持ちはあっただろうし、だからこそそれで老後の不安を相殺できる。

「自分探し」批判はまとまった論考が現在あるし、それに自分もかなりの部分首肯するところがありますが、「バブルのある/なし」だけをどうこう言ってたらそこで話は終わりで、人間が生きていくためにはパンと、パン以外のこと(漠然とした希望など)が必要だ、ということです。

最後、話がずれましたが、宮崎はたぶん幼女を殺していなくても、周囲からはじゅうぶん指弾されていたでしょう、ってコトです。

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