« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »

2008年6月

【雑記】・「ばあさんが 盗みで捕まり ぼけたフリ」 

ビートたけしがテレビ界に打って出たときのいちばんの売りは「老人をネタにしたギャグ」だった。しかし、今となってはそれを覚えている人はほとんどいないかも。
たけしの「標語」でいちばん有名になったのが「赤信号 みんなで渡れば 恐くない」で、他の年寄りネタはほとんど忘れ去られてしまった。私も忘れた。

さて、80年代の「老人を虐待するかのようなネタ」にどのような意味があったかというと、「タブーを審判するスリル」以上のものはなかったように思う。サブカル全般に広めれば、「天皇」とかをネタにするのと文脈は同じだったのではないか。

で、以上は話の枕。

続きを読む "【雑記】・「ばあさんが 盗みで捕まり ぼけたフリ」 "

|

【映画】・「マジック・クリスチャン」

[amazon]

1969年

監督:ジョゼフ・マクグレイス 、出演:ピーター・セラーズ、リンゴ・スター

大金持ちの男が浮浪者の青年を養子にし、ひたすら無意味で悪趣味な金遣いを披露するブラック・コメディ。

続きを読む "【映画】・「マジック・クリスチャン」"

|

【雑記】・「『アキハバラ電脳組』から10年」

[amazon]
世間では「エヴァンゲリオンからもう10年以上経ってる」ということがよく話題になるが、そういえば「アキハバラ電脳組」のテレビ放送から今年で10年なんですよ。

まあ、決して大傑作というわけではないけど、実は「電脳」ってタイトルについているなら、「電脳コイル」より好きだったりしますよ私は。

続きを読む "【雑記】・「『アキハバラ電脳組』から10年」"

|

【映画】・「神様のパズル」

公式ページ


監督:三池崇史
エグゼクティブ・プロデューサー:角川春樹
脚本:NAKA雅MURA

寿司屋見習いでロッカーを目指す青年・綿貫は、双子の如才ない弟が恋人とタイ旅行をするから、自分の代わりに学生として大学へ行ってくれと頼まれる。
ゼミに出席した綿貫は、さらに人工授精によって生まれた天才少女・穂瑞沙羅華をゼミに参加させてほしいと教授から頼まれる。
自分の殻に閉じこもっているっぽい沙羅華を説得するのはとうてい無理かと思いきや、「宇宙は人間につくれるのか?」という疑問を投げかけると彼女は思いがけず興味を示し、ゼミに出てきた。
物理学のことなどまったくわからない綿貫は、沙羅華とともに「宇宙は人間につくれるのか」の証明をしなければならなくなる。

すごい不入りだなんていうニュースも読んで、いったいどうなるのかと思ったら、形容しがたい怪作・快作に仕上がっていた!!

まあ、たぶん理系の人から観るとトンデモ映画なのだろうが、特定の人間の「生きざま」と「宇宙とは何か?」という疑問が、ひたすらにパワーによって無理やりに結び付けられ、アウフヘーベンされる。
その手つきは「幻の湖」的だとすら言うことができるんだが、あっちは「送り手が何を考えているのかサッパリわからない」から観客をおいてけぼりにしたトンデモ映画になってしまった。
しかし、この「神様のパズル」は、送り手が何を伝えたいのかがビンビンに伝わってくるのである。

三池監督の仕事の中でも、監督性・作家性をおさえている作品の中ではそうとうにぶっとんだ内容になっているのではないか。

惜しむらくは、宣伝をまったくしていないように感じたことと、ポスターを観ただけでは映画の内容がまったく理解できないこと。
主演二人はとてもがんばっているが、キャスト的にも弱かったのかもなあ……。

とにかく、爽快な、さわやかなトンデモ映画。新宿歌舞伎町では明日まで、しかも1日1回しかやらないというのはちょっと不遇すぎるだろう。

こういう映画が評価されないと、何のためにみんな苦しいことを我慢して生きているのかわからないよ!!

|

【雑記】・「まそsjfpづぐあsdぽ」

おわびに頭をそりました。
そして、もうはえてきた。

頭の上から、豆の木が……。

|

【雑記】・「下のエントリ、大失敗!!」

下のふたつのエントリ、自分的にかなり失敗だった!!
いい文章じゃない。
人をいらだたせる。他人の意見をマクラに、けっきょく自分の意見しか言ってない。

大失敗です。

おわびに頭をそります。

|

【雑記】・「むかしの方がきつかったに決まってます」

Mがいた時代(大石英司の代替空港)
言っていることの9割は同意します。が、最後のところの、

* までも、個人的に感じるのは、あの事件はバブルの最後の頃ですよ。バブルの徒花というか、ああやって引きこもった生活をしていても、とくに老後の不安とか感じなく暮らせた。今みたいに、それが世間から指弾されることもなければ、本人が焦ることも無かった。ただ家族の世間体がそこにあるだけで。

いやいや、そんなことはないでしょう!!
どう考えても、昔の方が世間からの指弾はありましたよ。
そもそも「世間から指弾されることもない」って書いた後に、「ただ家族の世間体がそこにあるだけ」って矛盾してませんか?
最大限に好意的に解釈すれば、「世間から指弾されることはないのに、家族は世間体を気にするという、感覚のズレが生じていた」とも読めますが、当時の状況を思い出してもそんなことはありませんでしたよ。

続きを読む "【雑記】・「むかしの方がきつかったに決まってます」"

|

【雑記】・「たまたま目にしたから書く話」

繋がりという共同幻想(大石英司の代替空港)

そこへ行くと、2ちゃん以降の名無し同士の会話。それも携帯となると、長いテキストは書けないから、「繋がっている」と言っても、それは錯覚に過ぎなかったりするわけでしょう。本人の、この空間では自分の存在意義がある、という錯覚に過ぎない。何やらそれを増幅しがちなケータイ小説とかいうジャンルまである。
 パソコン通信のようなタコツボ的な空間で、ハンドルでやりとりして、たまにはオフで会ったりするんだけども、それでも疎外感を持つことはあるわけでしょう。

 この犯人に必要だったのは、ほんの数名のコミュニティで構わないから、彼の実像、正体を知っている者同士が集う空間だったんですよね。でも彼はそういう所で、自分が望む本当の姿ではない自分の惨めな姿を晒したくは無かった。この辺りは、実は2ちゃん型が主流になったネットのBBSの中で、みんなが抱えている問題なんですよね。

いや、それを言い出したら、素性がわかってたって実像がわかってたって、隣人の考えていることはわからんことがありますよ。
こういう論立ては、どうにもこうにも「金八的」というか、「同じ釜の飯を食えば仲間」という安易な幻想だと言えます。タイトルの「繋がりという共同幻想」というのは、文面からするとどうやら「2ちゃん以降のネットでつながっているという、共同幻想」ということらしいけど、それを言うなら家族だって共同幻想ですからね。

続きを読む "【雑記】・「たまたま目にしたから書く話」"

|

【映画】・「シューテム・アップ」

公式ページ

監督・脚本 : マイケル・デイヴィス
出演 : クライヴ・オーウェン 、 モニカ・ベルッチ

拳銃を持った男に追われる妊婦(拳銃を持ってる)。それを助ける謎の男(拳銃の名手)。妊婦が出産した赤ん坊を助け出したために、えんえん続く悪人との追いかけっこ。そして銃撃戦。少しずず明らかになる謎。そして銃撃戦。さらに銃撃戦。もっともっと銃撃戦!!!!!

最高すぎる。あまりにも最高だ。
自分の中で「トルク」、「TAXI NY」、「リベリオン」、「ワイルドスピード3 TOKYODRIFT」、「松浦亜弥のスケバン刑事」、「デッド・オア・アライブ」などに匹敵するタグイのすばらしさ。

要するにそういうタグイの映画だということだ!!!!!

|

・「カラスヤサトシ」(1)~(3) カラスヤサトシ(2006~2008、講談社)

Karasuya03_2
[amazon]
まあ今の時代、5年くらいのスパンはあんまり関係ないのである。逆に、5年くらいで去ってしまうブームは去ればよい。消える作家ならば、消えればよい。

というわけで、もうみんな知ってると思うけど4コママンガ「カラスヤサトシ」の紹介です。

続きを読む "・「カラスヤサトシ」(1)~(3) カラスヤサトシ(2006~2008、講談社)"

|

・「恐怖! マリア学園の地下室に……」 浅井まさのぶ(1980、立風書房)

Mariagakuen
少女向け恐怖・怪奇マンガを多く出していたレーベル「レモンコミックス」の1冊。

厳格な全寮制の女子高・マリア学園に入学してきた生徒たち。顔のアザにコンプレックスのある生徒・君枝が朝礼で倒れ、そのまま重病に。そして、その後飛び降り自殺してしまう。

君枝が倒れてから、彼女の幻を観たというものが続出。死の責任を取らされて医務の先生はクビに。代わりに雇われた青山先生がやってきてから、学園はさらなる怪異に襲われることに……。

君枝の親友・桂子は、怪異の真相をつきとめるためにいろいろと探り始めるのだが……。

ネットで検索したら、まともな論評がほとんどなかったので書いてみる。
結論から言うと、佳作であると私は思う。
(以下、ネタバレあり。)

続きを読む "・「恐怖! マリア学園の地下室に……」 浅井まさのぶ(1980、立風書房)"

|

【雑記】・「宮崎勤、死刑執行にあたって思ったこと」

連続幼女誘拐殺人事件、宮崎勤死刑囚に死刑執行

あの事件のときに個々人が何を感じたかは、当時の年齢やスタンスなどでみんな違うと思う。
東京と地方でも違うかもしれないね。

それにしても事件から20年が経ったんだねえ。
以下は、ただの自分語りです。


続きを読む "【雑記】・「宮崎勤、死刑執行にあたって思ったこと」"

|

【アニメ】・「電脳コイル追記(それとちょっと『トトロ』」

このエントリに追記。
以前、まだ私が「電脳コイル」をぜんぶ観る前、だれかと話していて「中心が空虚で周囲の現象だけがある『らき☆すた』は今日的なアニメで、『電脳コイル』は物語重視だから古いアニメ」という話を聞いてそんなものかと思っていたんだけれど、

実際観てみると、見事なまでにオタク好きのする記号的表現が観られるんだよね。だから、まあ先鋭的かどうかということになると「らき☆すた」かもしれないけど、
できるだけオタク的記号表現を廃したとされているアニメ版「時をかける少女」とか「河童のクゥと夏休み」とかと、一見同じように観えて実は案外、「電脳コイル」という作品は「萌え」文脈では「らき☆すた」に近いんじゃないかという気がする。

それと、「電脳コイル」を観て、その原型のように思える「トトロ」についてちょっと思うことを。

続きを読む "【アニメ】・「電脳コイル追記(それとちょっと『トトロ』」"

|

【アニメ】・「電脳コイル」

公式ページ

再放送でやっと見終わった!!
前半、正直観るのがキツかったが、ラスト5話くらいは怒涛の展開で満足しました。
今さらこんなことを書くのは超マヌケだけど、たいした作品だと思いますよ。

だけれども、本放送で私が乗り切れなかったのにも理由がある(5話くらいまでで、録画がたまっちゃった)。
まあ、あくまで視聴直後の個人的意見ってコトでご了承ください。
(以下、ネタバレあります。)

続きを読む "【アニメ】・「電脳コイル」"

|

【ポエム】・「だれにも向かない職業」

 人生に大切なことは、すべてマンホールから学んだ。そう言ったのは、米兵に女をあっせんして小銭を稼いでいたジミーだ。しかし、あいつはドブ板に顔をつっこんで死んじまった。

 それからおれの捜索が始まった。ジミーを殺したのはだれなのか。そして宝石「アフリカの印象」を盗み出したのはだれか。

 「非常口の刺青の女」。情報屋はそう言った。小さな箱の上に「占い」という看板をかかげて、日がな座っている男だった。左手の甲にひどい傷があった。顔は柔和だった。
 非常口マークの刺青を、二の腕にしている女。それが手がかりだった。おれは走り回った。おれのサファリジャケットは汗だくになった。おれのレイバンのサングラスは真夏の太陽を反射して光った。

 あるライブハウスに、左の二の腕に包帯を巻いている女が出て歌っているということを聞いた。おれはそのライブハウスに行った。
 舞台で女が歌っていた。確かに、左の二の腕に包帯。包帯に血がにじんでいた。パフォーマンスにすぎないのだろう。女の後ろでは、プロレスラーのような大男がギターをかきならしている。
 彼女の出番が終わり、おれは近づいた。よく見ると、髪の長い、いい女だった。ただし、生気というものがない。
 ボディガード役でもあるのか、ギターを弾いていた大男がおれの腕をつかんで引き離そうとした。

 そこが光に包まれた。

 暖かい光だった。

 なんだ……これは……なつかしい……すべてが……。

 ぼんやりとした光の奔流の中から、男の顔が見えて来る。
 情報屋の占い師だった。

 世界は……光に……包まれているのです……。

 この世は……神の……なんとかかんとかです……。

 男はおごそかに言った。
 とつじょ、横から巨大な力士が現れ、張り手で男を跳ね飛ばした。
 占い師の男は、どこかに飛んでいった。

 力士の前に立ちふさがったのは、さっきギターをかきならしていた巨漢だ。
 ギターの男は、身ごなしからするとアマレスをやっているようだった。
 力士と男の肉体が激突する瞬間、CMが始まった。

 ラーメンに、生卵を落とすスポットができました!!

 このCMは、月よりも大きい通信衛星によって、そのラーメンが発売されていない地域にも放送された。

 ラー・メン
 ラー・メン

 アメンホテップ~。

 歌を歌っているオーバーオールの少女。おさげ髪の少女。
 
 ジミーの妹だ!!

 「兄さんを殺したのは私よ。アフリカの印象がほしかったんだもの」

 うそだ、バカなことを言うんじゃない。キミはそんな子じゃない。

 「あなたに何がわかるっていうの。あなたに私の気持ちがわかるっていうの? もうすぐ、月よりも大きい通信衛星が日本に落下するわ。そしてすべてが滅びる。この計画の邪魔はさせない」

 おれは身体が動かなかった。しかし思い出していた。子供の頃のことを。

 「わーん、10円落としちゃった~!!」

 おれのトラウマ。
 おれの克服すべき過去。
 10円玉。
 
 おれはすべてを理解した。
 そして理解したとき、すべてのくびきから自由になっていた。

 「な、なんなの、バカな、そんなことが!!」

 ジミーの妹はあきらかにうろたえていた。それはそうだろう。勝利を確信した者の前にいる、無力だと思っていた相手がとつじょ巨大化したのだから。

 おれは巨大化した自分の身体をほれぼれと眺めた。
 まずは喉の渇きをいやしたい。

 と思ったが、やっぱり決着をつけてからだ。
 
 おれは坂道をかけのぼり、いきおいよく走ってくだっていくその勢いで、下に敷いてあるマットレスに体当たりした!!

 「ギャアアーッ」

 だれかの悲鳴が聞こえた。
 おれの意識は薄れた。

 気がつくと、おれは街の雑踏の中に一人立っていた。

 「ジミー……」

 自然と声が出た。
 涙があふれ出てきた。
 しかし、その名前の意味はわからなかった。
(完)

|

【ポエム】・「道路とロードは紙一重」

その町の家は、なんかひとまわり小さかった。
それと、屋根の色が原色。
家と家の間が、妙に開いていた。

家には必ず小さい庭が付いていて、
その庭にはすべて人工芝が植えられている。

犬を飼っている家もあったが、
犬の等身大の人形を飾ってある家の方が多かった。

家の中をのぞくと、ほとんどの場合、主婦と思われる女性がテレビを観ながら美容体操をしていた。
レオタードに、レッグウォーマーを付けていた。

「美容体操のテレビを観ながら、美容体操をしているのかな」と思うが、
テレビに映っているものを観ると、ろくろがただクルクル回転しているだけだった。

路上は、ソフトをかぶった紳士がよく通る。
セールスマンらしい。
だれもがアタッシェ・ケースを持っていた。

ある紳士の一人が、ケースの中身をぶちまけてしまった。

中には、小さい、つくりの荒いゴム製の恐竜人形がいっぱい詰まっていた。

なぜか、子供を見かけることはなかった。

おかしいと思いつつ、町のはずれに行くとサーカスのテントがある。
入場無料だというので入ってみると、
客席は子供たちで満員。
全員が舞台に向かって、すごい勢いで声援を送っている。

舞台に何があるのかと思い観てみると、
やはりただろくろが回転しているだけだった。

サーカスを出ると、もう夕暮れ時。
子供たちは家に帰らないのだろうか? そろそろ夕飯の支度が始まる時間なんだが……。

と思い、もう一度サーカスの中に入ってみると、
ホストみたいな男たちが、夢中になって舞台上のろくろに声援を送る子供たちに、
弁当を配っていた。

「どんなものが入っているのだろう」と思い、子供の一人が弁当のフタを取るところを覗き込むと、

一人の子供の弁当の中には方位磁石、
別の子供の弁当の中には小さな英和辞典、
また別の子供の弁当の中には、マトリョーシカが入っていた。

それを眺めている間に、いつの間にか風景が変わり、

私は何もない、だだっぴろい草原にいた。

いや、何もないわけではない。遠くの方に古い駅舎があった。

近づいていくと、初老の、背筋のピンと伸びた車掌のような男性がいて、

いきなりズボンを脱ぎだすと銀色のふんどしをしており、ふんどしの前方から虹色のビームが発射。それが空にある、気持ち悪い顔の描かれた太陽を直撃し、太陽がまっぷたつに割れたところから無数のポチョムキン人間3号が飛び出し、光にあたったそばから消えていった。私はそば屋に入った。そば屋の中は、ホルマリンのにおいで充満しており、思わず鼻をおさえた。そうしたら先客のカップルが、聞こえるように「わかってないやつが来たね~」と言ったので、私はいつの間にか右手に握られていた銀玉鉄砲をカップルの男の方の額に向け、ひきがねをひいた。すると思いがけぬ強い反動とともに弾丸が発射され、男の頭を打ち抜いた。女の方は何事もなかったかのように、携帯電話の分厚いマニュアルを読んでいた。頼んでもいないそばが届く。私はそれをひと口すすった。

うまい! 思わず声に出して叫ぶと、前方にあった巨人像が音を立ててくずれた。するとそこは巨大な庭で、近所にある芸大の学生が、学園祭で展示したオブジェを次々と捨てに来るのだった。ヒマそうなオヤジがワンカップを飲みながらしばらくそれを眺めていたが、ふいに苦しみだすとドロドロととけていった。学生たちはそれを気にする様子もなく、どんどんオブジェを捨てていく。「キャンプファイヤーしようよ!」黒縁のめがねをかけた小太りな女が提案すると、学生たちはお互いにうなずきあい、いかにもいいアイディアだというようなことを口々に言ったかと思うと、その黒縁めがねをかけた小太りの女を、手に持ったスポーツチャンバラの竹刀でこづきはじめた。するとまた音を立てて、ビデオを逆再生するように岩がもとどおりの巨人像をかたちづくるためにくっつき出し、学生たちは全員おしつぶされた様子であった。

しかし、時計の中に隠れた子ヤギだけは生き残っていた。この光景は彼にトラウマを与え、その後の人生でも苦しみ続ける。おかげで子ヤギは、成長したら大人のヤギになってしまった。ヤギは、一定の長さの鉄の板を溶かして棒状にするための工作機械を買うために無理なローンを組んだ。しかし、その工作機械は届かなかった。代わりに届いたのは、メロンのにおいのする消しゴム一個だった。その消しゴムは、こう言った。「スクランブル交差点って、人がぶつからないで交差するからすごい!」でもだれも聞いていなかった。人類は滅びていたから。ささくれによって。ささくれが痛くて。そして何となくイライラして。兄貴の部屋の、F1のポスターをやぶいてしまったから。

さあ、物語もそろそろ終わりに近づいた。ヘンゼルとグレーテルは、知らない親戚のおじさんと同居することになった。おじさんも、こんな生活が長くは続かないことをわかっていた。おじさんはもはや、空虚であり、全であった。光のパワーを一身に浴びて、今、高層ビルから飛びおりんとしている。彼の観ている希望は間違いなく幻覚だっただがヘンゼルとグレーテルは、それが言い出せなかった。だれが言い出せる!? おじさんの苦しみをいちばんわかっているのは美空ひばりだったじゃないか。「スライド書棚」……この言葉に秘められた暗号を、だれが解けた? 解けたのは、進学塾に通う生意気なあの少年だけだったし、その彼もまた、シャッターの閉まった商店街と開いている商店街のギャップで死んでしまったじゃないか。文庫本だけが本じゃない、って言ってくれたのは豆腐屋のおばちゃんだった。でも豆腐屋はもうないよ。

本当に終わりが近づいたのでこれだけは言っておきたい。豆腐屋はもうないよ! ショッピングモールにあんなに反対していたマサイ族のケンさんも、グリーンランドに帰ってしまった。今、自分の友人と言えるのはダンボールでつくったイカだけだ。いや、ダンボールでつくられたものは、正確にはイカではない。イカのレプリカにすぎない。それを知ったときには、すべてが遅かった。大豆をいっぱいに入れた水槽を持ち去ったのはだれだ? おまえか? あなたか? それとも……。

やつは言っていた、「ロシアに、江戸情緒は、ないっちゃあないね。」そういうものなのか、とおれは思った。ロシアだから江戸はない、っていうこともないんじゃないか? おれは気軽に言ってしまった。やつのジーンズがやぶれていることにも気づかずに……。でも交番のおまわりさんは、電車賃がないと言ったらサロンパスを三枚、貸してくれた。おれは魔法のじゅうたんの要領で、それに乗って家に帰った。

家では、家族全員で何もうつってないテレビを観てたっけ。そういう一家なのだ。ユーモア一家。ユーモア一家? ヘドが出る! 電柱にのぼっているやつ、だれか、弓矢で打ち落とせよ! 法律に違反してないのか? 消防署は何をしてるんだ! だからブルドーザーのプラモデルをつくっている場合じゃない!!

冷やし中華に生命の存在が確認されたのは、ついこの間。バイキング一号が発見した。しかし、帰ってくる途中で、中学時代の友達にバッタリあって、そのまま飲みに行ってしまった。だれが。わからない。わかるはずもない。

そして、宇宙はすべて閉ざされ、完璧に「静かな」状態になった。招き猫の貯金箱。電動歯ブラシ。おれは、メモ帳をちぎって小さくたたみ、かっこよく路上の木の又にはさんで、

心の中でウインク。
(完)

|

【ポエム】・「願望充足ポエム」

昭和三十年代。
架空の昭和三十年代。
ボクの考えた昭和三十年代。

日本にはまだ人情が残っていた。

「そのハンバーグ、残すなら私が食べてあげましょうか?」

「最後の楽しみなんだよ!!!!!」

親切という名のおせっかい。
それが町にあふれていた。

「あなたのお財布の中のお金、代わりに使ってあげましょうか?」
「自然破壊を防ぐために、電線をハサミで切っておきましょうか?」
「外国のファッションショーの、うっすら乳首が見える薄い生地の服を着ているモデルを、注意してきましょうか?」

すべてが、すべてがおせっかいなんだよ!!
ほっといてくれ!!

私は叫んだ。
町は静かになった。
静かになりすぎた。

アコーディオンをかなでるピエロも、
剣を呑んで見せる大道芸人も、
組体操をする身長二メートル近い謎の男たちも、

すべていなくなっていた。

清涼飲料水の自動販売機は、飲料の販売を中止し、
代わりにタンスが地震で倒れないようにするための、ストッパーの販売を開始。

きらびやかなネオンはすべて禁止され、
代わりにすべての店舗で、くさやの干物を焼くことが義務づけられた。

そんなディストピア小説を、
石原しんたろうが書いたらいいな。

原作は私で。
(完)

|

【雑記】・「ヤツの袋小路」(現時点で)

前のエントリで私が書いた「ヤツの恋愛幻想が、完全に逃げ道なしの袋小路に追い込まれていた可能性」について。


続きを読む "【雑記】・「ヤツの袋小路」(現時点で)"

|

【雑記】・ぼんやりと秋葉原の事件について考える

ぼんやりと考えてます。
まず最初に、報道について。

テレビをザッピングしていると、「オタクの犯罪」という強い打ち出しで目を引いたのがテレビ朝日。
ただし、今後、「格差問題」の観点で行くかもしれないなと何となく思う。自動車メーカーとしがらみがなければだけど(この辺、よく知らない)。

対照的に、「事件現場で積極的に救護にあたったのはオタクだった」と言っていたのが、フジテレビの午前9時頃の番組。
「電車男」を自社で持ち上げた恩義、なのかなあ。よくわからん。
「意外にもオタクに人情があった」みたいな観点、「ヤクザが優しかった」みたいなことなんだけどまあ、それでもよしとしないといけないのかもしれんね。ミヤザキ事件のときに比べれば……。

あと、あちこちでつっこまれているが「事件現場をデジカメで撮影する感じの悪い野次馬」というのを、秋葉原というオタクの町とからめての報道もあったが、そりゃないぜ、とはさすがに思う。
じゃあ、もう素人の撮った衝撃映像、二度と使うなよ!!

続きを読む "【雑記】・ぼんやりと秋葉原の事件について考える"

|

【雑記】・「桃井はるこはいいこと言ってるよなぁ」

2008年6月8日千代田区外神田の中央通りで起きた事件について(モモブロ)
桃井はるこのブログによる、秋葉原殺傷事件に関して献花に行ったときのもようを書いたテキスト。

いい文章だよなぁ。

実は、私桃井はるこって、「かわいいジェニー」の前後くらいまでよく知らなかった。
だけど、「BONZO」に出ているのを見て、「うわー、すごい自分の思っていることを筋道立てて言える子だな」と思った。
このエントリも、言いたいことがビンビンと伝わってくるなあ。

|

【雑記】・アキバ殺傷事件関連

秋葉原の無差別殺傷事件犯人は産経ニュースに登場するものでした(こどものもうそう)

秋葉原の無差別殺傷事件「銃刀法規制に賛成?」「反対?」のアンケートが、いちじるしくアホだとのこと。

|

業務連絡

メールの返事が遅れるかもしれませんが、よろしくお願いします。

|

【雑記】・「書けないことばっかり」

ここのところ興味をひく事件はいろいろあるのだが、感想を書けないことばっかり。
世の中には、「物事に対してどうコメントするか注目される人」というのがいて、そういう人たちは人々の不安に対応したり、迷いを消し去ったりといった役割を担ってる。
だから、状況がわからなかろうがなんだろうが、とにかくコメントを出さなければならない。

そういう人は私は世の中に必要だと思うし、時間や状況に制約がある場合、そのコメントの鮮度がいちじるしく短かったり、後から考えると的はずれだったりしても、それはしかたがないことだと私は考える。

それは、そういう「役割」だから。

でも、大半の人間は違う。何も先を争って「うまいこと」言う必要はない。ブログ時代は一億総「うまいこと言う」時代。
しかし、自分にはその必要はない。

というわけで、何も書いてないという次第。

|

【イベント】・「トンデモ本大賞2008」当日券出ます

トンデモ本大賞、今年は当日券出るそうです。

1階S席・2階A席は残席僅少、2階S席は若干余裕がある、とのこと。
当日11時より会場入り口にて販売、だそうです。

実は私も出ます。IPPANさんと。
これから練習します。
よろしく。

【日時】2008年6月7日(土曜)12時開場 13時開演(予定)
【場所】みらい座いけぶくろ(旧称・豊島公会堂)
     東京都豊島区東池袋1-19-1(JR山手線池袋駅東口下車・徒歩約5分)
【出演】山本弘、唐沢俊一、皆神龍太郎、志水一夫、永瀬唯、眠田直、藤倉珊、植木不等式ほか。
【ゲスト出演】坂本頼光(活弁士)
【主催】と学会
【協賛】楽工社

|

【映画】・「ノーカントリー」

公式ページ

監督:ジョエル&イーサン・コーエン

ヤクの取り引き用のヤバい金を偶然手に入れた男が、異形の殺し屋に追いかけ回される。

お話が文学的すぎて、鑑賞直後には感想を書きようがなかったんだけど、今になって書いてみる。

続きを読む "【映画】・「ノーカントリー」"

|

【映画】・「ミスト」

公式ページ

監督:フランク・ダラボン
原作:スティーブン・キング

謎の霧が立ち込め、その中には得体の知れない怪物がいて人を襲って殺す。
スーパーマーケットに閉じ込められた人々は、この謎の怪物たちから助かるのか。

続きを読む "【映画】・「ミスト」"

|

« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »