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【映画】・「マジック・クリスチャン」

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1969年

監督:ジョゼフ・マクグレイス 、出演:ピーター・セラーズ、リンゴ・スター

大金持ちの男が浮浪者の青年を養子にし、ひたすら無意味で悪趣味な金遣いを披露するブラック・コメディ。

ワタクシが勝手に命名した「イギリス上から目線ギャグ」満載で、かなりウンザリ。
まあ、イギリスのコメディってどれを観てもこんな感じだからまあいいけど、それを待ってましたと言わんばかりに大喜びしている日本人の一部には疑問が残るぞ。

疑問の理由その1。イギリスの歴史的文化的背景を、概略だけでもつかんでおかないとどこが面白いのかわからんギャグが半分くらい。しかし、そんなに日本人だれもがイギリス文化について熟知しているとは考えにくい。
モンティ・パイソンもそうだが、観ている日本人の半分はわかってないんじゃないのか。

疑問の理由その2。本作はどういうわけかかなり反権力的に仕上がってはいるけど、それはむしろ(私が観たイギリスモノの中では)例外。
むしろ、イギリスのブラック・コメディの根底にあるのは文化的にものすごく成熟・爛熟した、でも滅んでいかざるをえない人々の「世の中こんなもんさ」という諦観である。

戦争で焼け野原になり、親の代がどん底から這い上がり、せめて子供たちだけでもと自分たちが身を粉にして子供を高校や大学に行かせ、その子供たちはひたすら「舶来」に死にたいくらいに憧れた戦後日本人(の多く)。

そんなヤツラが、平気な顔してイギリス人のアメリカ人差別ネタやコミュニスト差別ネタのギャグなんかに笑ってたりする。

もちろん、それなりの知性・学力・家柄・認識力を兼ね備えていればいいけど、
本当にそんな人たちばっかりなのかね?

それとも、そんなこと考えずになんでも鑑賞するのが「上から目線ギャグ」が好きな人の感性なのであろうか?

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