【雑記】・「『アキハバラ電脳組』から10年」
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世間では「エヴァンゲリオンからもう10年以上経ってる」ということがよく話題になるが、そういえば「アキハバラ電脳組」のテレビ放送から今年で10年なんですよ。
まあ、決して大傑作というわけではないけど、実は「電脳」ってタイトルについているなら、「電脳コイル」より好きだったりしますよ私は。
・その1
ウィキペディアにも「作画崩壊」が解説に書かれてしまう作品。本放送当時も、知り合いの間ではやっぱり「作画がひどい」というのと、もうひとつは「秋葉原はこんな町じゃない!」という物言いがあったことが、今でも記憶に残っている。
「秋葉原はこんな町じゃない!」発言に関しては、昔の商店街的雰囲気を残した「パーツ屋」のイメージを愛する硬派オタク(?)のものがポピュラーだ。
が、10年前、私の周囲にかぎった話では、「秋葉原」という町そのものにSFチックな(サイバーパンク的な?)テーマを持たせることに否定的な意見もあった。あんな町は偶然、電機や家電を売る店がよせ集まった町にすぎないのだと。なにかっこつけていやがるのだと。
個人的には、よくある「秋葉原は機械好きの男たちの集まる町でなければならない」という意見に関しては、まあこういうこと書くと怒られるかもしれないけど、硬派をきどってアニメの設定だのメカだのの話しかしないヤツの家に行ったらしっかり美少女エロアニメが置いてあり、
そこをニヤニヤしながらつっこむと、照れるでもバツが悪そうな顔をするでもないという「コイツの価値基準はいったいどこなんだ?」とこっちがうろたえてしまうケースを思い出してしまうのだが、
まあそんなことはどうでもいいです。
どこかの本に書いてあると思うけど、秋葉原という町は他の、たとえば日暮里だとか何だとか、そういう町が「代わりの売りもの」がないばっかりに過去に取り残されたのに対し、「電気街」という、日々進化・変化するものをたまたま取り扱っていた、という非常に特殊なところ。
そこで商売をしている人たちは食うため、生きるためにやってるわけで、それをどうこう言ってもしようがありませんな。
でも、オタク内でウンザリするくらい繰り返し起こっていた、「美少女アニメは嫌い」だの「萌えがわからない」だのの論争(というかいさかい)が、「街」に関しても言われているのは……もう面白くねェか、別に。
・その2
話が少しそれたかな。「アキハバラ電脳組」は今考えても設定がふるっていた。少女たちは「パタPi」という電脳ペットを育てているんだけど、それは1997年に流行った「たまごっち」をSF的に進化させたものでもあり、アニメを観る男の子たちにとっては、自作パソコンなどのメタファーだった。
10年前、秋葉原は女の子が来るような町ではなかったから(家電を買いに来る新婚夫婦はのぞく)、「女の子が秋葉原に来るような設定」としてはよく考えられていたと思う。
また、SF的プロットが(細かいところは知らないが)最後まできっちり出来ていたのも特筆すべき点で、私の大っ嫌いな「雰囲気だけで投げっぱなしします」という結末でないのも良かった。
後はまあ、女の子が徒党を組んで戦うという「セーラームーン」的な面だとか、まぬけな悪役だとかいった当時はそれほど珍しくない設定の集積体なんだけれども、今の秋葉原の現状を観るにつけ、ああ、「アキハバラ電脳組」が夢想していた、「女の子がアキハバラに普通に行く世界」というのはなんだかんだ言って実現したじゃないかと。
いや、本来の意味とは違うかもしれんが、いることはいるだろ、女子が。
「アキハバラ電脳組」は爆発的な大ヒットをしたアニメではないから直接的な影響はともかくとして、70年代、根本敬が描くような親父に育てられた少女マンガ家たちが紙面に「ロマンチックな家」とか「メルヘンチックな喫茶店」などを描き、それが80年代には実際にあちこちに建てられたように、
たぶんみんなの妄想が結実して、今のアキハバラができているんだよ。
まあ、商売人たちが食うためにやっているとしても、きっと「タイタンの妖女」の中の、宇宙人にあやつられて巨大建造物をつくった人類のように、きっと何かにあやつられていたんだな。
で、そういうところから決定的に疎外された人間として「加藤智大」をポンと置いてみると、秋葉原という町は完結してしまうんだよね。
まあ、このブログは「うまいこと言う」のがテーマではないので、「加藤智大」は、最後のポイントとして置かれないんだけどね。
町ってそういうもんでしょ。始まりも終わりもないんだよ。どんなにさびれた町だって、今、生きてる人間が住んでるわけだからねえ。
などということを思った。何が言いたかったかというと、当時、私の周辺の人間が否定した方向に秋葉原は向かったし、「アキハバラ電脳組」も、言われるほど的外れな作品じゃなかったということだ。
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