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・「人間噂八百」 足立淳(2008、産経新聞出版)

Nigenuwasa
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人間……それは野に咲く彼岸花。

ということで、あの無料配布マンガ週刊誌「コミック・ガンボ」に連載されていた、芸能噂系四コマが単行本になりました!!
ガンボは、途中まではわざわざもらいに行ってたんですが、私の通勤時間やルートと離れちゃって、だんだん疎遠になったと思ったら休刊になっちゃった。

だから、まとめて読めるのは嬉しい。

で、本作をひと言で言うならば、「初めてナンシー関っぽくない、芸能ゴシップを楽しむフォーマットが生まれた」というところかな……?

本作は、毎回テーマとなる人物(ほとんどが芸能人)がいて、その人に対する噂を四コママンガとして解説していく、という形式の作品。

取り上げられるのは谷村新司、広末涼子、中川翔子などなど、新旧おりまぜて多彩な51人(巻末の、「ちょっと話題に出てきた人」まで含めた「全登場人物さくいん」が圧巻!!)。

まず、四コマの形式を使っているところが面白い。ねたみややっかみから来るギャグや、「いかがなものか」といった新聞の社説調のシメ方がほとんどないのが好感持てます。

似顔絵がいろいろ出てくるわけだけど、作者は「萌え四コマ」も好きな人らしいから基本的に絵がかわいいのもいい。

そして、すごくて謎なのが、「70年代頃のエピソードに異様にくわしい」ということと、「ギョーカイで小耳にはさんだとしか思えない話が出てくる」ってことですね。

作者は新人マンガ家のはずなのに~。「和田慎二先生は実写版スケバン刑事は『II』しか認めてない」とかさあ、ホントなんですかね?
あと、斉藤由貴は東宝だったから、東映のシリーズである「スケバン刑事」に、自分の主演作が終わった後に顔を出すことができなかった、とか(これは本当なんだろうけど)。

とにかく、ネットを探っても出てこないような話がどんどん出てくるんですよ。

また「ラジオでこういうやりとりがあった」とか「テレビでたまたま観ていたらこんなことを言っていた」というのがときおり出てくるのもいい。

要するに、情報の収集の仕方が雑多なんですね。

いわゆる「ギョーカイ裏事情」だけでもないし、ナンシー関的な「テレビを完全にテキストとして読み取る」というふうでもない。

しかも、これは「かわいいマンガ」として成立しているからよけい面白くなっている。生のままで書いたら、たぶんどこか安くなってしまうというか、とりとめがなくなりすぎてしまう気がするんですよね。

だからこのフォーマットを確立した段階で勝利なのかな、と。

携帯コンテンツでまだ続いているというし、一つひとつのページは短いからネタが途切れるまでいくらでも続けられる。
何というかな、わりと掲載環境に左右されないマンガなんじゃないでしょうか。

テレビの前で文句を言うだけでもなく、「事情通」を鼻にかけるでもなく、絶妙なバランスでマンガとしての面白さが成立しています。
「ぜんぶガセ(あるいはぜんぶ本当)」って考えた方が、(外部にいる人間にとっては)芸能界って、楽しいなあ、なんて思いましたよ。

あ、ひとつだけ気になってることが。
丹波哲郎は、「霊界に行ってきた」とは発言してないんじゃないかと思うのですが???(ま、サマツなことです)

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