【アニメ映画】・「ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」

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監督:細田守、 脚本 伊藤正宏、2005年
「楽しいことがいっぱいある(大意)」という話に乗せられ、「オマツリ島」にやってきたルフィ一行。しかし、オマツリ男爵のよくわからない「地獄の試練」につき合わされ、おかしなゲームをやらされることになる。
この島の目的はいったい何なんだ……!?
テーマは「仲間」。WEBアニメスタイルの細田守インタビューによると、当初のプロットとしては「オマツリ島で、次々とアトラクションのような『試練』を行う」ということが主旨だったらしいが、それに手を加え、より掘り下げた内容にしているようだ。
そして、過去の「仲間」に固執するオマツリ男爵には自分が投影されているとも監督は語っている。
WEBアニメスタイルのインタビューでは、インタビュアーが「『仲間』を描くには細田監督はクールすぎるのでは」的なことを言っているけれど、むしろ「仲間とは何か?」をとことん突き詰めた結果、こうなったように感じた。
要するに「人は、失った仲間と生きていけるか? 共闘できるか?」というのがテーマだと思う。
もうちょっと広げれば「死者とともにどう生きるか?」である。
オリジナルキャラクターのブリーフ(チョビヒゲ海賊団団長)は、その象徴的存在になっている。リンク先のインタビュー内ではインタビュアーが「この人もかつての仲間にこだわってる」と言っているが、ルフィを助けて協力するあたり、明らかにブリーフは前向きな男、として描かれている。彼は復讐をとげたら島から出て行くはずだろう! 映画を観ればそれがわかる。
もう一方のオリジナルキャラ、「お茶の間海賊団」のお茶の間パパは、終盤で妻がすでに死んでいるらしいことが示唆される。お茶の間パパは、意識的にも無意識的にも死んだ妻と共闘しているのであり、子供たちを守ることを最優先にしていることでそれを表現している。
しかし、オマツリ男爵においては「死者とともに生きる」ことが足かせにしかなっていないと思わせる一方で、死んだ妻の忘れ形見である少女・デイジー(要するにお茶の間パパの娘)が、物語終盤で奇跡を起こす。
ここで、対立軸であるルフィVSオマツリ男爵、ブリーフVSオマツリ男爵が神話レベルで止揚されていることに注意されたい。
ここら辺が細田監督のうまさである。
また、オマツリ男爵の手下たちがどれもどこかに愛嬌を残しているキャラクターであることも重要。
ラスト、オマツリ島の真相が明らかになることによって、憎い悪役であるオマツリ男爵が、かつて人望のある海賊であったことが明らかになる。そのことの説得力になっているのが、その部下たちの「なんだかいいやつな感じ」なのである。
「仲間」の存在によって、「いいやつだった頃」のオマツリ男爵のキャラが想像できる仕組みになっている。
なお、孤独おっさん世代にいちばん感情移入できるのはブリーフの生きざまだろう。旅から旅への青春をすごすルフィたちより、仲間を全滅させられ、復讐のために一人で島じゅうに抜け穴を掘るチョビヒゲ海賊団団長を観て、今日も生きようと思った次第。
ルフィ的存在の人もなかなかたいへんだが、こういうふうにチャンスを待ちながら潜伏するおじさんは、もっとたいへんなのであった。
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