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【雑記】・「一世代前の偽悪的な正義感」

「ネットでバッシング煽るバカ」 倖田騒動を勝谷が猛烈批判
確かに過剰なバッシングはよくないですよ。だけど、勝谷氏の「沢尻は徹底的に叩くが幸田は擁護する」という姿勢には(とくに裏がないなら)「一世代前の正義感」を感じてしまいますね。

・その1
私は勝谷氏の発言は、亀田一家を徹底的に叩いていたときに思ったんだけど「一世代前の感覚」ですよね。「ボクシングはかくあるべし」という。

亀田の話になっちゃうけど、亀田問題の背後には「ボクシングにはストイックであってほしい」、「だけどお金は落としてくれない」大量の潜在的観客(逆に言えば観客ではない人々)が存在するわけで、勝谷氏の亀田批判には「じゃあどうしたら客が呼べるのか」っていうことがひとつも考えられていなかった。

それともうひとつ、「スポーツ選手はかくあるべし」ということもやたらと言っていたけど、亀田のパフォーマンスがパフォーマンスであることくらい、バッシング側ですらわかっていたわけですよ。ガッツ石松だって、現役時代森の石松スタイルでリングに上がっていたんだから。そういうのぜんぜんわかってない「一世代前のガチ感覚」を感じていました。

で、今回の幸田羊水発言に関しても、たぶんもともとこの人は2ちゃんねらーが嫌いで、ネットの噂話が嫌いで、そういう素朴すぎる正義感からこの発言になった気がする。

それともうひとつは、たぶんこの人は、若手女優やガールポップ一般をものすごく下に観ているね。沢尻は「小娘が持ち上げられて増長した結果」であり、幸田は「ものを知らない小娘がちょっとしたしくじりをやってしまった」というふうにとらえている。
コドモだと思っているから、叱るときには叱らなければいけないと怒るし、許すときには異様に寛大になる。そんな気がするね。

・その2
で、私が本当に書きたいのはこれから。主にラジオでの勝谷氏の、コメンテーターとしての手腕を考えようと思ってんだけど。

まず驚いたのが、小池百合子が防衛大臣になったときの発言。
麻生サンがオタクに支持されてるとか、石破サン本人がオタクなんじゃないかという話の流れから、「オタクは『萌え~』とか言って、小池百合子を支持するんじゃないの」と言った後、いかにもあざけった口調で「史上初の萌え大臣が誕生するかも」みたいなことを言っていたと記憶する。

私自身はヒトを年齢でサベツすることには慎重になりたいが、小池百合子はあくまでもおじさん・おじいさんのアイドルであって、若いオタクが「萌え」的な観点で支持するわけないだろう!! アホか!!

たぶん氏は「オタク」に関しても一世代前の感覚を持っている。自閉的とか、徒党を組んでギャーギャー言うとか、そんな感覚だろう。石破サンに関しては「彼はオタクだからこそ信用できる」というようなことも言っているが、その認識も甘いんじゃないだろうか。オタク趣味を持っている人間だって、政治思想はバラバラだろう。

まあ、その辺ちょっとオタクを甘く観てるよなあ、と思った。

・その3
上記のように、「毒舌の裏に隠された素朴な正義感」が勝谷氏のウリで、いかにもテレビウケ、週刊誌ウケしそうな感じだよなあ、とは思う。まあ、それはそれで悪くはないんじゃないかとは思う。

しかしそれだけでは、彼の全貌を明らかにしたとは言えない。彼のコメントの最大の特徴は、「想像でものを言い、煽る」ことである。しかも、その後のフォローはあまりない。

たとえば、「なんとか還元水」の大臣が自殺したとき、「彼の奥さんは政界をひっくり返すようなすごい資料を持っているかもしれない」と言っていた。
その後、なんか出ましたか? 私は知らない。

東京版の「ミシュラン」の本が出たときには、「この本の主旨はレストランよりも一緒に載っている一流ホテルのPRにあるのだろう。きっと、紹介されているホテルには各部屋にこの本が置いてあるはず」と言っていたが、確認した様子もない(まあ、容易に考えられることではあるが)。

そのほかにも、「こういうことが起こると、このままでは政財界は大変なことになる」と想像で煽ることが多い。でもその後のフォローはあまりない。

「自分には裏の情報網がある」とチラつかせるという手口もよく使う。「ここまでは言えるが、ここからは言えない」といった感じで。そうすると、「言える」範囲がたいしたことなくても、「何か裏情報を握っているんだろう」と思わせられるから、リスナーが勝手に推測してくれるという寸法。

いや実は前から気になっていたんだよね、この人の一世代前の知的バーバリズムというか……。本人は団塊の世代大っ嫌いらしいけど、でも彼の行動原理とかバイタリティーは「素朴な正義感」から発している点において、団塊の世代の影響をモロに受けていると思う。
こういう言い方は嫌味だが、上の世代にはかわいがられた、有能な記者だったんだと思うよ。

幸田の話に戻ると、彼の物言いっていうのは、ものすごく明確に「広義のエンタメよりも社会や政治問題の方が上」と言っているように感じてイヤなんだよね。それがズレたオタクバッシングともつながっていると思う。
「ストリーム」の他のコラムニストと比較すると、たとえば町山智浩氏が「映画」というエンタメを入り口にして政治や社会を観ていくというルートをたどるのに比べ、勝谷氏は「社会や政治について詳しいおれが、サザンやグルメについて詳しいってちょっとカッコいいでしょ」という態度がうかがえて、カッコ悪い。それってやっぱり一世代前の考え方だよなあ。

いや、知らないよ。サザンや「食」について的確なこと言っているのかもしれないけど、亀田バッシングの内容を聞くと、私としてはとうてい広義のエンターテインメントに関するコメントを信じる気になれないんだよね。
(学内の度が過ぎたイジメを、刑事事件として告発しろという意見には、賛同するけど。)

彼のような「一世代前の、しかし必ずしも左とも言いきれない正義感」がどれほど有用かはわからない。あるいは「偽悪的な正義感」というか。しかし、その点はだれかが指摘するべきだと思って指摘しました。

補足:
2ちゃんねらーが独自の正義感でこそ動いたり、勝谷氏の発言が求められているということは、「正義」がみんなに求められているということである。しかし、現状知識人はほとんど、その受け皿たりえていないところが問題。

江原某の問題にしても、「霊」というファクターを仮構することによって、現世の理不尽を解釈上は理不尽でなくす、ということが求められているのだから、あれもけっきょく「正義感」の問題なのである。
インチキを指摘すれば澄む問題とは言いきれないのだ。

まあ、いい大学を出ている人はそこら辺をがんばってください(偉そう)。

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