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・「五日性滅亡シンドローム」(1) ヤス(2007、芳文社)

Itsukasei
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「まんがタイムきらら」連載。「あと五日で世界が滅びる」という噂が町を席巻し、その噂に振り回されたり振り回されなかったりする少年少女を描いた、4コママンガ。

基本設定だけ聞くと「ゲッ、セカイ系かよ」と思ったが、読んでみるとなかなか面白い着地の仕方をしていた。
こういうのは、オジサンはぜったいに描けない。故意にやったのか偶然にやったのかもわからないんだけどね。

完全に予想で描くが、「あと五日で世界が滅びるという噂の世界で生きる少年少女たち」を、現代の皮膚感覚で描けるのは、(作者がいくつか知らないけど)若い世代なんだろう。「北斗の拳」的終末観を刷り込まれた私としては、この発想も、展開も、まったく思い浮かばないたぐいのことであった。

以下は、私が何となく連想したことなので読みたくない人は読まないでいいです。

「あと五日で世界が滅びる」と言われつつ、「なぜ、どのように滅びるかがわからない」という感覚は80年代にも見られたのだが、そこには「空虚な楽しさ」というか「あきらめつつもよっぽどひどいことにはならないだろう」という「タカをくくった感覚」があった。

それ以前の70年代にはかなり逼迫した終末観がエンターテインメントで描かれているので、その反動でそうなったのだとも言える。

これが、90年代に入るとバブル崩壊前にあった楽観主義はすっかりなりをひそめ、何となく、だれも彼もが異様に上から目線か、あるいはびっくりするくらいに下から来る時代になってしまう。
そんな中での終末観は、「滅びる理由が不明瞭」という点では80年代に近い。近いが、たとえば80年代には「不明瞭」でありつつも、「核による最終戦争」という、ある意味甘美なイメージがあった。

なぜ甘美かというと、「核による最終戦争」によって、本当にすべて、何もかもが終わるからである。逆に言えば核戦争によって「世界はひとつ」であると、裏側から証明されていたとも言える。

ところが、とくに911以降は、イメージとして世界は完全に分断された。だから、「終末」と言ってもそれは日本だけのことかもしれないし、町内だけのことかもしれないし、「そこでいう世界とはいったいどこまでの世界なのか」ということすら不明瞭になってゆく。

これはたぶん、本当に感覚的なことで、今の30代、40代、50代の漠然とした終末観とはまた違うものである。
だから、そこからどう生きるかは、各自考えてください(無責任)。

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