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【感動自作小説】・「栗太郎とひょっとこ姫」第6回

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第5回

午後2時頃。
ズンドコ之助は、「存在感薄い公園」で仲良く語り合う栗太郎とひょっとこ姫を苦々しく横目で見ながら、隣のゴミ捨て場でサンドイッチをあさっていた。

ズンドコ之助は、当然、いまだに栗太郎がひょっとこ姫と仲良くしていることをよく思っていなかったが、バーバーダム家との「ファミレスの座席争奪戦」にかかりきりになっており、それどころではなかったのだ。

いつものゴミ捨て場にいるズンドコ之助の背中に、焦りの色がにじみ始めた。

「サンドイッチが、ない……」

ニートであるズンドコ之助の一族、ポッピョピョン家は、ほとんどここに捨ててあるサンドイッチのみで生活している。
ここのサンドイッチがないとなると、死活問題だ。

「もしかして……。やつが!?」

ズンドコ之助は、つぶやいた。

「おばば様。我々の手を持ってすれば、このようなことはたやすいですよ」

ここはバーバーダム家。
小麦粉ジョーが、ドサッと放り出したものは、大量のサンドイッチであった。

小麦粉ジョーは、バーバーダム家のドロボー行為の中心人物である。

「でかしたぞ、ジョー。これでやつらは兵糧攻めにあったも同然……。まもなくファミレスから手を引くじゃろう」

小麦粉ババアは、嬉しそうにサンドイッチのひとつを手に取り、包装をはがしてひと口食べた。

「やつらの金銭の収入は、柿三郎のバイト代のみですからな。金銭がなくなれば、ファミレスになど入れなくなるのは必定」

柿三郎は、栗太郎、桃次郎の弟で、重い石を運んでは谷底に投げおとすというバイトをやっている。

「これで再び、われらの天下じゃ!!」

小麦粉ババアは、嬉しそうに笑った。

実際、二、三日してズンドコ之助はファミレスから姿を消した。
昼頃には手つかずで残っていたサンドイッチが根こそぎなくなっていたため、ズンドコ之助は午前中にも行ってみたが、やはりなくなっている。
仕方がないので、面倒くさかったが早朝4時起きしてごみ捨て場を見張る。

すると、サンドイッチが捨てられてすぐさま、それを拾って持っていく人影があった。

「小麦粉ババアのところの、小麦粉ジョーじゃないか!!」

ズンドコ之助はやっぱり、と思った。
「我らのライフラインを絶って、ファミレスから撤退させたのだな……」

ズンドコ之助は悔しさのあまり、拳をワナワナとふるわせた。
彼の顔には、ある決意があった。
「最後の手段を使うしかない。」

ニートの彼にはないほどの、決意の表情であった。

数日後。
小麦粉ジョー、小麦粉太郎、そして小麦粉豊作、小麦粉キャッツといった、銅線ドロボーの兄弟の面々が全員、異次元警察に逮捕されてしまった。

ガランとした家の中で、小麦粉ババアは呆然としていた。
「やつじゃ……。やつが通報したんじゃ……」

しかし、考えてみれば隣近所に「あの人たちはドロボーで生計を立てている」と知られていた彼らである。
今まで、捕まらなかった方がおかしいのであった。

「わしはどうすればいいんじゃ……。もうファミレスに行けないではないか……」

具なしのお好み焼きを自分でつくって食べながら、小麦粉ババアはつぶやいた。
ひょっとこ姫のバイト代は、貯金をしろと言ってあった。今さら、家長としてひょっとこ姫に金を無心するわけにはいかない。

これが「第二次ファミレス戦争」の結末である。
最後の決戦が近づこうとしていた。

第7回につづく

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