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【感動近未来小説】・「ズンボボズボボボ伝説」第1回

西暦2507年。
人類は混迷の21世紀を脱し、世界は統一された。宇宙に進出、海底にも基地をつくった。
透明のチューブの中を、カプセルの錠剤のような飲み物が猛スピードで行き来し、
六本木ヒルズ並みのビルがバンバン建っている。

もちろん、エコロジーにもじゅうぶん気を遣った都市設計だ。
六本木ヒルズ並みのビルとビルの間には、神宮の森くらい広い森がボンボンとできている。

工場の煙突からは、ミントの香りのする煙が出ている。
この煙は、吸うと健康になる薬が入っている。

会社や学校はすべて、自宅にあるネットからアクセスできるが、それでは人と人とのコミュニケーションがとれないのではないかという配慮から、みんな朝から会社や学校へ行く。

カプセルに入って行くので、満員電車の苦しさもない。
カプセルの中は、20人くらいが入れる広さ。横座りに座れる椅子が並べられていて、ゲームやネットやりほうだい。
一定の間隔で蛇口が壁から出ていて、そこからはオレンジジュースやりんごジュースが出てくる。
ちなみに、これはタダで飲める。

スポーツは、野球とサッカーの人気が高かったので、両者の間をとって「キックベース」が世界的なスポーツとなっている。
日本ではキックベースのセ・リーグとパ・リーグがある。それぞれのチームが優勝して、さらに日本シリーズへの出場チームが決まると、
決勝は相撲で行われる。

相撲は、こうしたかたちで残っているのである。

そんな世界に、マサオは住んでいた。

マサオは中学三年生。
ごく普通の少年だ。
頭の程度も、容姿も十人並みである。

ただ、今ひとつのほほんとしすぎていて、何かに燃えるということがない。
何でもそこそこにはこなすが、それ以上のことはしないのだ。

両親にとっては、育てやすい子供ではあった。
しかし、マサオの実母は、マサオが小さいときに病死してしまった。
父親のマサユキは、ほとんど男手ひとつでマサオを育ててくれた。

そんな父親が、再婚することになった。

父の再婚相手は、女性ながらイタリア料理の店長をやっているという人。
とにかく、未来ではイタリア料理は大人気。
だれもが先を争って「ピザ」とか「パスタ」という文字をタトゥーに入れてしまうほどの人気であった。
再婚相手の女性の名前は、ハナコと言った。

非常にやり手であった。
支店を5つも持っていて、常に忙しそうにどこかに携帯電話をかけている。

逆に、父のマサユキはのんびり屋である。
仕事は、コンブを「ひらひら~っ」と走らせながら歌を歌うという、芸人であった。

ある日、マサユキはハナコの経営するイタリアンレストラン「ザピ」で、余興に出演することになった。

コンブを「ひらひら~っ」とさせながら、「浪花節だよ人生は」を歌うマサユキ。
その癒しの芸に、ハナコは惚れ込んでしまった。

二人は、スーパースペースシャトルで月に新婚旅行に行くことになった。

今では、月は新婚旅行の定番なのだ。

たくさんの人に見送られて、二人はスーパースペースシャトルに乗り込んだ。

しかし、月に行く途中で謎の隕石にぶつかってしまった。
スーパースペースシャトルは、大破。
乗員はすべて、死んでしまった。

マサオは呆然とした。
一人ぼっちになってしまったからだ。

不幸中の幸い、ハナコの遺産は膨大だったから、生活には困らない。
残されたイタリア料理店は、ハナコの右腕だった男・イモゾウが切り盛りしているから心配はいらない。

マサオは、今日も一人、家に引きこもって20世紀の遊びであるジグゾーパズル(しかも絵が何も印刷されていない難易度の高いやつ)を寂しくやっていた。

キンコーン

呼び鈴が鳴った。

「だれだろう……」

マサオが面倒くさそうにドアのところにある覗き穴を覗いてみると、そこには一人の美少女が立っていた。

第2回(後編)につづく


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