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【感動自作小説】・「栗太郎とひょっとこ姫」第8回

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第7回

栗太郎の死をかわぎりに、小麦粉ジンパチによる「ポッピョピョン家狩り」が始まった。

次男・桃次郎は、コンビニで立ち読みした帰りに狙撃され、死亡。

四男・梨士郎は、ネットカフェから出てきたところを狙撃され、死亡。

五男・芋梧郎は、場外馬券場の人ごみで、後ろからナイフで刺されて死亡。

六男・檸檬六郎は、床屋でひげをそってもらっている最中、ガラス越しに拳銃で撃たれて殺害された。

すべてがジンパチのしわざであることはあきらかだった。

ズンドコ之助は、パニックにおちいった。
何しろ、バーバーダム家は、「給食の犬食い」という防御呪文しか知らない小麦粉ババアを除いて、すべてが拘置所に入っていると思っていたのだ。
そこにまさか、いなくなっていたジンパチが表れるとは思ってもいなかった。

しかも、前々から「最も危ないヤツ」だということは知れ渡った男である。

すでにポッピョピョン家は、栗太郎も含め四人がジンパチによって殺害されている。

そのうち、いわゆる「ファミレス戦争」の舞台であったファミレスの店長まで、ジンパチによって撃ち殺されてしまった。

ポッピョピョン家で残っているのは、バイトをやっている柿三郎と、自分しかいない。

ズンドコ之助は、「警察に通報」に引き続き、二度目の決意をしなければならなかった。

……「狙撃事件、殺害事件があいついでいる」という情報はあっという間に町内に広まった。
今は人っ子一人、路上を歩くものもいない。

木枯らしが吹いていた。

閉店してしまったファミレスの前に、男が立っていた。
ジンパチである。

しばらくすると、彼の前方10メートルほどのところに、男が現れた。

ズンドコ之助であった。

「やっと当主のおでましか。待ちくたびれたぜ」

ジンパチは、右手に握った拳銃に頬ずりした。

「これだけ死人が出てしまったとあっては、私が出てくるしかない、と思ってな……」
「おいぼれがどこまで通用するか、相手になってやるぜ」

二人の間の空間に、異様な緊張感が立ちこめていた。

しばらくの沈黙の後、ダッシュしたのはズンドコ之助だった。

「ローリング・シュナイダーッ!!」

ズンドコ之助の左拳はまばゆい光を放ち、ジンパチの顔面向けて解き放たれた。

ズキューン!!

しかし、ジンパチの拳銃さばきの方が何倍も早かった。

フィニッシュブロー「ローリング・シュナイダー」がジンパチに達する前に、ズンドコ之助の眉間は拳銃で撃ち抜かれていた。

ファサ……というような、まるで布きれがふんわりと地面に落ちるように、ズンドコ之助は倒れた。

「あっけない最後だったぜ」

ジンパチは肩頬を吊り上げて笑った。

プルルルル、プルルルル……。

ジンパチの携帯電話が鳴った。

出てみると、ジンパチの子分の男だった。

「アニキ、今大変なことになってますぜ。拘置所の小麦粉ジョー、小麦粉豊作、小麦粉キャッツ、小麦粉太郎の四人が、差し入れの饅頭を食べて全員死んだそうです! なんでも毒入りだったそうで……」

「何!? いったいだれがそんな差し入れを!?」

「なんでもポッピョピョン家の桃次郎とか言うヤツだそうで……」

いったいいつ饅頭が差し入れられたかを、子分に聞く。
それは桃次郎をジンパチが殺害する直前のことだった。
桃次郎は、コンビニで立ち読みする前に拘置所に寄っていたのだ。

第9回につづく

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