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【感動自作小説】・「栗太郎とひょっとこ姫」第10回(最終回)

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第9回

しかし、柿三郎の身体が一瞬半透明になったように見え、弾丸は彼の身体を素通りした。

「ギャーッ!!」

すごい声がした。柿三郎の真後ろにいた、ジンパチの子分の声だった。
弾丸は、彼に命中したのだ。

「!?」

驚くジンパチ。
しかし、そのほんのわずかの瞬間、柿三郎は10メートルの間合いを一気に1メートルにまで詰めていた。

「ローリング、シュナイダーッ!!!!!」

柿三郎のフィニッシュ・ブローが炸裂した。彼の左拳は、激しく回転する渦状の光を発し、ジンパチの持った拳銃に命中。

拳銃はチョコレートのようにひしゃげ、次に握ったジンパチの指を粉砕し、その手首をも粉砕し、右腕を折り、彼の右肩を破壊した。

「うぎゃーっ……」

「ローリング・シュナイダースペシャル!!!!!」

ジンパチが痛みで絶叫しようとしたとき、今度は赤色の光を放った柿三郎の右拳が、彼の左こめかみにヒットした。

その瞬間、ジンパチの頭蓋骨と脳髄は同時に破壊され、右の耳からブシューッと、脳漿が噴出していた。

ジンパチは、死んでいた。

「ズンドコ之助のローリング・シュナイダーなど、ただの技の残骸にすぎん。本当にこの技を復活させたのは、このぼくだ……」

右拳と左拳を血で真っ赤に染めながら、柿三郎はたたずんでいた。

しばらくすると、背後から異次元警察官が二人、やってきた。

「とうとうやっちまったな、柿三郎」

そのうちの一人が言った。

「何を言ってるんだ……。ポッピョピョン家とバーバーダム家を滅ぼすために、黙って見ていたんだろう? もしかしたら、ジンパチを呼び寄せて泳がせていたのもあんたらなんじゃないのか?」

柿三郎は言った。言っている間にも、彼の両手には手錠がかけられていた。
柿三郎は、抵抗しなかった。

「そんなにあそこに捨ててあったサンドイッチが欲しかったのか?」
「まあ、話はゆっくり署で聞くとするよ……」

二人の警官は、柿三郎を連行し、ジンパチとその子分の死体をかかえて去っていった。

「遅れちゃった……」

またしばらく経つと、「存在感薄い公園」に一人の人影が現れた。

ひょっとこ姫であった。

栗太郎の死後も、寂しくなって何となく公園に来ていたのだ。

「何かあったのかな……」

血で汚れた地面を不審そうに眺めるひょっとこ姫。
バイト先のコンビニから直行して来たので、小麦粉ババアが死んだことすら、彼女は知らない。

「きょうだいみんな死んじゃった……」

ひょっとこ姫は、ベンチに腰かけてじっとしていた。

数分経つと、いつの間にか歌を口ずさんでいた。

それは、「ピョメピョメ倶楽部」の歌であった。
(完)

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