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【テレビ】・「ETV特集 21世紀を夢見た日々~日本SFの50年~」

「ETV特集 21世紀を夢見た日々~日本SFの50年~」(10月21日(日)放送
録画しておいたのを、今頃観る。

それにしても、ざっとブログ等を巡回したが、あまりにもみんな文句言いすぎだろう。
中には「押川春浪にふれていない」とか書いているところもあったが、「日本SFの50年」って戦後50年のことなんだから、あたりまえである。

この番組は、もちろん本当の意味での50年史ではなかったことは「看板に偽りあり」と言われてもしかたがないかもしれない。
しかし、「日本SF第一世代、具体的にはSF作家クラブのやってきたこと」をテレビで検証していくというのだから、地上波としては画期的だったはずである。

いや、それよりも強調したいのは、この番組は「SFについて描いた番組」なのではなく、「オタク的コンテンツの源流には、まぎれもなく黎明期のSF作家の功績があった」ということが言いたかった番組なのだということ。

つまり、「SFファンのための番組」ではなく、「SFファン(おそらくつくったディレクター)」が、今の若いオタクたちにその源流を示した番組なのだ。

自分は、これは非常に画期的なことだと思う。

世にオタク論は数多いが、活字SFとオタク文化の明確な関連を語っているのはそれこそSFファンダム出身の評論家しかいない状況だからだ。

そもそも、「オタク」がなぜ異端視されたかというと、「マンガ」、「アニメ」、「特撮」という、ビジュアルなものに傾倒しているから、であった。
だから、「映像的なものにはまるのが、オタク」というのがステロタイプなオタク論なのだ。

#このあたりの固定観念は、文学好きでマンガ編集者出身の大塚英志の声がデカかったこと、別冊宝島の「おたくの本」にSFプロパーの執筆者がぜんぜんいなかったことなどによる、80年代後半あたりから続いている「歴史認識」なのである。

しかし、オタク特有のこだわりやそれに相反する冗談気質は、SF畑の人から受け継がれた部分が多いし、
ファンジンや即売会などのノーハウも、たぶんSF大会からコミケに引き継がれた部分も多いだろう。

さらに、この番組にもあったように、オタク的文化の黎明期にはブレーンとしてSF作家がいた。
今回、「宇宙戦艦ヤマト」のスタッフとしての豊田有恒がクローズアップされたことも、そこにある。

これは本当に、少なくとも地上波では今までなかった視点で、それだけでも自分はこの番組を評価する。

なお、「SF冬の時代を知らんのか」とか書いてるブログもあったけど、それは筒井康隆が「浸透と拡散」と言っているから、番組の中では裏側でフォローされているとも言える。
というか、「SF作家クラブ」の活動は70年代半ばにはすでに沈静化していると番組内であった。
70年代半ば以降とは、オタク文化が花開きオタク第一世代が登場する年である。だから、きちんと番組内で説明されているのである。

それと、「栗山千明が秋葉原に行くシーンが無意味」という意見もブログで多かったが、
番組全体が日本SFを「オタク文化の源流」ととらえている以上、むしろ必要不可欠な場面であったと言える。

ワールドコンが基本的に活字SFをベースとしており、秋葉原がそうでないのなら秋葉原に重点が置かれるのは、当然でもあろう。

ま、そんなとこです。

補足

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