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【映画】・「処女監禁」

1977年
監督:関本郁夫

主演:三崎奈美、伴直弥
さえないアシスタントカメラマン・政男(伴直弥)は、向かいの家の美女(三崎奈美)をのぞき見することに執着している。
1年経ったある日、いよいよ彼女に告白しようと決意した政男は、自分がのぞき見している美女に男がいるところを目の当たりにし、なおかつその男には妻子がいることを突き止めてしまう。
がまんできなくなった政男は、ついに女を襲い、自分の部屋に連れ込んで監禁・強姦する。

誤解を恐れずに言えば、監禁ものの大傑作。
とにかく政男の気持ち悪い描写がきわだっている。カメラマンなのに、女の部屋を覗いては等身大のヌード模写をしたり、微にいり細をうがち彼女の日常をメモしたり、毎日彼女を妄想してオナニーするときにはコンドームに日付をつけ、それに射精し、なおかつそれを1年分、冷蔵庫に入れて貯めていたりする(オエッ)。

女性を監禁してからも本当にいちいち描写が狂っているので、まず観てほしい(渋谷のシネマヴェーラで28日にもう1回、上映される)。
主役のストーカー男が二枚目の伴直弥なだけに、その異常性がきわだつ。随所にブラックユーモアなところがあるが、それがすべて主役の男の異常性につながっている。「バカ映画」などとはとうてい言えない何とも言えぬ迫力が伝わってくる。
あまりにすごいので、観ている間中唖然としてしまった。もちろん見世物的なすごさもあるが、それだけではないから大傑作と書いている。最後の最後に訪れるのは男にとっての「絶対の孤独」。この孤独っぷりもあまりにもすごいので、感心してしまったのであった。

ネットの評価をざっと観たが、女性と思われる人で本作に関する不快感をやんわりと表明しているところが数カ所、あった。しかし、それは上品にすぎると思う。これほど女性が観て不快になる映画はそうはないのではないかと思うくらい、描写がひどい(暴力描写はそんなでもないと私は感じたが、ストーカー男の気持ち悪さは女性の生理的な部分にうったえるのではないか。そういうたぐいの「不快さ」である)。

しかし、「つくった人に、上映した映画館に悪いから」みたいな理由で、やんわりと批判するなんてよくないと思う。はっきりと「不快だ」と書くべきだ。そもそもが、女性が観て喜ぶようにはできてないのである。
たとえば、女性客のために男性が女性に監禁されてヒドイ目にあう映画があったら、男性である自分は不快になるかもしれない。そういうことはハッキリさせておいた方がいい。

また、中島貞夫監督の映画に「ポルノの女王 にっぽんSEX紀行」というのがある。こちらもさえない男(荒木一郎)がガイジン女を監禁してレイプしてしまうという映画だ。この「SEX紀行」は、まだ監禁する者とされる者との間に愛情がめばえる。
まあ私はその映画はその映画で好きなんだが、最初から最後まで監禁する者とされる者がほぼまったく心を通わすことのない本作「処女監禁」の方が、個人的には衝撃的に感じる(一度、政男のレイプに女が感じてしまうシーンがあるがあれはポルノの文法上、いかにも入れましたという感じで基本的には政男と女の間には何の交感も生じはしない)。

繰り返すがこれは女性が観るにはキツいだろう。だがその逆で、男性が観るとキツい映画だってあるはず。まあ時代の流れとしてこれからはトランスセックスの世界になるんでしょうけどね、自分はそれに至る過程でのつまずきの方に興味がある。
そういう意味では本作は、作中の人物も、現代の観客としての男女も断絶させているからこそ、意味があると思う。時代を超えるとか性差を超えるとか、そういうおためごかしはいらない。

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