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【映画】・「最も危険な遊戯」

1978年 東映
監督:村川透、脚本:永原秀一

ふだんは賭け麻雀で負けまくっているさえない男、だがその正体は凄腕のトラブル・シューター(らしい)(松田優作)が、企業の幹部クラスの人間の連続誘拐事件の裏に潜む国家的陰謀に巻き込まれ、立ち向かってゆく。

(以下、ネタバレあり)

すごく変な映画だと思った。普通、「松田優作を主演にしたアクション映画」という基本方針が決まれば、プロットそのものはそう複雑だったり難解なものは必要ないわけで、職人的な脚本家なら水準のものは描けるはずである。

ところが、本作はまず主演の松田優作の職業がなんだかわからないところから始まって(トラブル解決屋? 殺し屋?)、彼の行動もプロとは思えないいきあたりばったりなもの。「ゴルゴ13」や海外の冒険小説を読み慣れた人なら観ていて頭の中に疑問符がわきまくるか、イライラしてしまうだろう。

私が俳優として大好きな荒木一郎(松田優作に立ちふさがる刑事役)も、持ち味を発揮したとは言いがたいし、クライマックスに至る展開も壮絶に不自然なことになっている。

ただし、ラスト近くの、いかにもな日本的家屋に潜む和服の「日本の黒幕」的存在を、松田優作が有無を言わさず拳銃でブチ殺すシーンだけは買える。そういうの、今は望んでも観られないから。

この頃の松田優作主演のアクション映画は、どうも「70年代作品」として位置づけても(自分にとって)謎なものが多い。
「太陽にほえろ!」のジーパン刑事は、当時ブルース・リーとならんで少年たちにとってのシンボルであり、それは納得がいくのだが。
まあ「太陽にほえろ!」の若手刑事はみんな殉職するけれども、ジーパン刑事の殉職シーンがことさらに人々の脳裏に焼き付けられているのは、ああいう当時の「松田優作的なイメージ」の「死」をも物語っていたからではないかと思う。
あ、今調べたらジーパン刑事の殉職は1974年! 73年が、個人的にはオタク的事象の転換点だと思っているので、まさしくその年なんだね。ただし、73年と74年の間に、リリースされる作品において劇的な変化があったわけではない、と思う。

それは78年あたりくらいまでじょじょに変化し始めて、80年代前半にはまだしも「70年代前半的なもの」にしがみつている人もいたけど、バブルの前兆のようなものが観られてからそれはあっさりと忘れ去られる。

……数日前、作詞家の阿久悠が亡くなった。「ダンディズムの時代は終わった」って宣言した阿久悠作詞で沢田研二が歌う「カサブランカ・ダンディ」が1979年。
阿久悠がおそらく時代の半歩だけ先を行こうとしていたことを考えると、1978年というのは本作のような「男しか観ない映画」にとっては微妙な年代だと思う。

本作や「蘇る金狼」などは「いかにも70年代東映」という路線から離れている。が、かといってここから何かが継承されたふうでもない(もちろん、欧米のアクション映画や大藪春彦の小説の、80年代を通じての受容のされ方を見ていかないといけないとは思うが)。
80年代には、「西部警察」とかアニメの「シティハンター」みたいな、まあ昔ほどはドロドロした感じでもない、どこかむずがゆい感じになっていってしまうのであった。
そしてその果てには、「あぶない刑事」がある。

……あ、工藤栄一監督の「ヨコハマBJブルース」(1981年)なんかは好きなんだけどね。

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