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【映画】・「天使のはらわた  名美」

1979年、にっかつ
監督:田中登
原作・脚本:石井隆
出演:鹿沼えり

女性週刊誌の記者・名美は、強姦被害者たちの事件後を記事にする「強姦・その後」というシリーズ連載を持っている。
ある日、名美は取材先のストリップ劇場と、その次に取材した家で「強姦被害者の取材をし続けているが1回も記事にしたことがない」男・木村と出会う。いちおう「強姦はいけない」という建前をもって記事を書いている自分と違い、三文雑誌に興味本位の記事を書いているらしいいいかげんな木村に、名美は反発を覚えつつも興味をひかれていく。
一方で、名美は強姦被害者の取材を続けるうちに自身も強姦幻想に取り憑かれていく。

あー、有名な「天使のはらわた」シリーズを始めて見ましたよ。ちなみに成人映画です。

石井隆に関しては、恥ずかしながら知識がほとんどなく原作も読んでいない。この人だけが70年代エロ劇画の中にあって文化人……とまではいかなくても、たとえばブンガク好きの人などに好まれている印象があり、まあ食わず嫌いでここまで来ちゃったんですよね。

ネットで検索すると、映画の「天使のはらわた」シリーズとしてはそんなに評価高くないみたいなんだけど、自分は画面の迫力に圧倒されました。
なぜか撮り方がホラーの方法論ですよね。後半は完全にホラー(田中登はホラーみたいなのも撮ってるらしいけど)。
それと、これを観て、逆に石井隆監督の「花と蛇」がなんであんなんなっちゃったのかが少し納得がいった。
石井隆にはがぜん興味が湧いてきましたよ。

とにかく70年代エロ劇画というのは、自分の印象だと強姦中心。強姦か何でもわかってる熟女とか。あるいは熟女を強姦してみたら何でも知ってる淫乱だったとかね、そういうのが多い。
この辺は「なんでそうなのか」は、リアルタイムを知っている人にきちんと説明しておいてもらわないと、後世の読解として誤解が生じる可能性もあるのでなんとかしてほしいです。

私の見解としては、本作に限っていうと「強姦」の恐怖と魔力に取り憑かれた女の話です。だから彼女を救うのはインポの木村なんでしょう。木村は、留守中に妻を強盗にレイプされ、あろうことか妻が強姦者のもとに走ってしまったという過去を持っている。それは要するに、間接的に木村も強姦の被害者ということです。
まあ今の若い人なら「それなら男が男に犯される話にすればいいじゃん」ってなるかもしれませんが(そういえば、ストリップ劇場のシーンで「男にレイプされたことがある」と語るオカマも出てくるな)。

「犯されたい」という願望を持った女が、そういう自分が許せなくて最後には男に復讐してしまう。簡単に言えばそういう話ですが、コーフンしようと思ってこの映画を観た当時の観客はどう思ってたんですかね? 当時当然のようにあった「レイプもの」のパターンを踏襲しつつ、ジェットコースターのようにぐわんぐわんとお話を展開させて最後には「業」をゴロリと放り出す。
石井隆に慣れてない自分には興味深く感じました。

しかし、それにしても石井隆が「花と蛇」を杉本彩主演で撮ったのはますます謎です。こういうプロットをつくる作家なら、SMを描いたらああなるのは当たり前なのになあ。

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