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・「侵略円盤キノコンガ」 白川まり奈(1998、太田出版)

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「QJマンガ選書」の一環として出た単行本。「侵略円盤キノコンガ」、「どんづる円盤」収録。

・「侵略円盤キノコンガ」(1976年)
私は「何かが肉体を浸食していく」というタイプの作品が生理的に受け付けず、本作はタイトルとあらすじを聞いただけでサブイボが立ってしまうほどだったので、「QJマンガ選書」はあらかた買っていたのだが本書は買っていなかった。

しかし傑作の誉れ高いし、何となく購入しなかった「ドリーム仮面」に現在プレミアが付いてしまっていることを考えると、今購入しないといつ読めるかわからないと思い、古書として購入した(電子書店パピレスで読めるらしいけどね)。

あらすじは、宇宙から飛来した円盤に乗っていた宇宙人に寄生していたキノコが地球上で大繁殖してしまい、人類が淡々と滅んでいく過程が、作者の円盤やキノコについての知識を交えて展開されるというもの。

一読して思った。これは本当に傑作だと。
「QJマンガ選書」自体が、「ちょっと今では読めない変なマンガ」というニュアンスで出版され続けたこともあり、ネット上でも「なんだかおかしなマンガ」程度の評価しかないようにお見受けしたが(もちろん、すべてのレビューを読んだわけではない)、

これって本当に傑作なんじゃないのかな。
(まあ、私が「傑作」という場合は、現状のマンガ文法外の文法で描かれていることは折り込み済み、なおかつB級はB級であるという事実を含んだうえでの「傑作」という意味なのだけれど。この辺説明がむずかしいが。)

「どんなに気持ち悪いか」と思われていたキノコたちも、案外ユーモラスでかわいくさえある。
そして、確かにラストシーン、「ブランコに乗ったキノコの少年」のシーンは圧巻である。
たとえば永井豪の短編「鬼」などが評価されマンガ史に残るのなら、本作も残らなければ不公平だ、と言いきってしまおう。

なお、「吸血鬼ゴケミドロ」との類似性もよく指摘されるが、私が読んだかぎりではもっと前の侵略SF映画のプロットを漠然と拝借した、という感じなのではないだろうか。
「ゴケミドロ」よりも、「肉体が何かに侵犯される」という恐怖は本作の方がずっと強いし、キノコへの愛着も「ゴケミドロ」とは違った印象を与えている。

・「どんづる円盤」(1978年)
「どんづる峰」というところにUFOが現れるとか現れないとか言った騒ぎから起こる恐怖。
こちらはお話全体のつじつまが合っていない、「どんづる峰」という強烈なインパクトを持つ名前がストーリーに直接関わってこないなど、まごうかたなきB級テイストが横溢していて、さすがにこれを「傑作だ」と自分は言うことはできない。
ただし、得も言われぬパワーを感じることも確か。

なお、両作品とも、鑑賞する上で70年代当時は現在とは比べものにならないくらい「UFO」の実在感、子供たちにとっての「今にもUFOが空から降りてきて着陸してもおかしくない」感触があったことは理解しておく必要があるんじゃないでしょうか。

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