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【映画】・「悪夢探偵」

監督・脚本:塚本晋也

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携帯電話による暗示によって自殺するという奇怪な事件が発生。女刑事(hitomi)が捜査を開始、同時に「他人の悪夢の中に入ることができる」青年(松田龍平)にも捜査を依頼する。
人の心を読むことができるために苦痛を味わい、また他人から拒否され続けてきた青年は一度はその依頼を拒否するが……。

「悪夢探偵」の設定が曖昧(「人の心が読める」ことと夢に入れることの因果関係が不明)、キャラクターがステロタイプでありつつ描き切れていない、お話の展開がわかりにくい、など娯楽映画としてお客を呼べるかどうか甚だ疑問。
広告は一種のヒーローものとしてお客を呼ぼうとしてうまかったけど(だまされた(笑))。

そういえば塚本監督が脚本家としてどうかはよく知らないんだけど、小説やマンガを原作として付けないプロットの甘さが出てしまっている。それともわざとやっているのだろうか? 自分に自信満々のキャリア女と心に傷を持つアウトサイダーの男のコンビ、というあざとい設定のベタさを回避しているあたり、もしかしたらわざとなのかもしれない。
しかしそれにしても、わけがわからないというよりは説明不足という感じで、しかも、いったん設定を考えてしまえばそんなにむずかしくもないものを説明していない印象なので、やはりだまされ感があるのだ。

ただまったくどうでもいい作品かというとそうでもなく、たとえば「携帯電話による暗示で自殺志願者を自殺に追い込む」という犯人のキャラクターは(設定はありきたりなのだがなんか見た目が)、自分は非常に新しいと思った。っていうか松田龍平よりこっちの方がキャラが立っている。
犯人が発覚してからの展開が陳腐なんだよな……「おれのトラウマの方がすごい!」みたいな不幸自慢対決になっちゃう。これ惜しいんだよな……「トラウマ描写は不幸自慢対決」っていうのを押し進めていけば、ものすごく突き抜けた作品ができたかもしれないのに。でも、たぶん監督にはそういう押し進め方に興味はいっさいなかったんだろうね。

そんなことを思う作品。

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