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・「昭和不老不死伝説 バンパイア」(5) 徳弘正也(2006、集英社)

Banpaia06

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スーパージャンプ連載。
ここで「昭和不老不死伝説」としての本作はひとつの区切りを迎えた(巻末の予告を観ると次巻は「近未来不老不死伝説」として続くらしい)。
ここまでのテーマを考えると、「人間はピュアなもの、イノセントなものに触れると純粋なゆえにどこまでも残酷になれる」ということか。
「昭和」ってタイトルに付いているが、実はテーマとしては確かに昭和っぽくはある。そこに不満を感じるインテリのみなさんもいるかもしれん。
しかし、展開の圧倒的な迫力、本作の「マンガとしての面白さ」に、このテーマはまだ古さを失っていないと感じる。

911以降、「戦い」を描くことがむずかしくなったと思う。「戦い」というのは比喩のレベルではいくらでもいろんなことができる形態であり、その「比喩」を高度なレベルで表現できるのがマンガや映画のはずなのに、なぜかそれができていない作品が多いのだ。
戦後すぐやベトナム戦争時と比較しないと本質的なことはわからないが、ザックリ予想だけで言うと日本人は骨抜きになっている部分はあるな、と思う。

しかし、本作では「生きる=戦い」ということを充分描いている。
ひさびさに「マンガ」で描かれる「戦い」に満足できた。

ただひとつ気になっているのは、
「人間は完全なる善をなそうとすると地獄をつくり上げる」ということは、わかる。
人間は猥雑でどうしようもなくて、それでもいいところもあって、という曖昧なところを残していかないと大変なことになる、というのもわかる。

では、どんな「理想」を掲げて行動しても必ずそういう結果になるのか。
あるいはそうでない道があるのか。

そこまで、作者は考えているかどうか。
いや別に考えていなくても実はぜんぜんかまわない。徳弘正也という作家の「パワー」を推し量るに、ここしばらくは「つまらないマンガ」を描くことはないだろうと思う。
マンガ、とくに本作のようなストーリーマンガというのは「パワー」だから、テーマがどうだとかそういうところは半分くらいどうでもいいところも、あるにはある。
それこそが「マンガ」の面白さである。

ただ、素朴な疑問として「まったく理想を掲げない状態で人間は生きていけるのか」というのは、私がふだん考えていることでもあるので、そこまで触れてくれれば嬉しいなあとか、まあその程度の感じなんですけどね。テーマにこだわりすぎてつまらなくなった作品なんて、いくらでもあるんだから。

本作の内容に話を戻すと、最初から狙っていたのか展開のなりゆき上そうなったのかわからないが、昇平(マリアを慕う超能力少年)が途中まで篤彦とマリア会のピュアさを信じてた、っていうのが良かったなと思った。
何というか、「愛」をオールマイティのカードと使っておらず、なおかつ昇平のマリアに対する「愛」を描いていたから。

5巻、マンガ喫茶にあれば1日で読める。オススメ。

4巻の感想

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