【映画】・「地獄の天使 紅い爆音」
1977年、東映
監督・脚本:内藤誠、脚本:田中陽造、荒井晴彦
出演:入鹿裕子、舘ひろし、小野進也、森下愛子、内藤やす子
カミソリヨーコこと耀子(入鹿裕子)は、ロックギタリスト・貢と愛しあっていた。しかし、ヨーコとスケバンたちの喧嘩に巻きこまれた貢は小指を切り落とされてしまう。
耀子はスケバンの一人を殺してしまい、年少送りに。3年後出所した彼女は、小指を無くしギターが弾けなくなり、自分を恨んでいるであろう貢を探し始めるのだが……。
監督は「13階段のマキ」や「不良番長」の内藤誠。ヨーコは権力にも金にも、レイプにも屈しない孤高のスケバン。ただし、自分のためにどん底に陥った元恋人の罪だけは償わなければならない。
そのすっくとした立ち姿が、たまらない。
主演の入鹿裕子は新人でこれ一本で消えてしまったようだけど、ショートカットでボーイッシュ。目鼻立ちのクッキリしたエキゾチックな顔立ちをしていて、なかなかいい。
ただし77年の段階でこういう売り出し方をされたのでは、とても激変する80年代は生き残れなかったのでは……と思えてしまう、そんな(今だからこそ感じる)はかなさにもしみじみする。
耀子と知り合う、チンピラ的な不良娘が森下愛子。演技がつたなく「男っぽさ」を演出された入鹿裕子とは正反対で、演技は比較論で言えば達者だし、何より男に媚びる方法をすべて心得ているような印象。
これはそういう役づくりというより、森下愛子という女優が生来的にそういうのを身に着けていたんだろうね。
そして小悪魔的な魅力を持った森下愛子は劇中で男と幸福になり南の島へと旅立つ。
そこまであっけらかんとしていられない耀子は、別の道を歩かざるを得ない。
「小指がない」ということで、元恋人と間違えて耀子と知り合いになるのが舘ひろし。ライフルみたいのを持ってタレサンかけて走り回る。自分のかみさんをオモチャにした組長を憎んで殺害した男。
組長を殺したやくざに行き場はどこにもない。しかも、自分が車ではねてしまったがために片足が動かなくなった青年に、路上で腹を刺されたりしている。
そして、刺された腹の痛みに苦しみながら、すっかり体制派となって成功への道をあゆむ兄弟分やくざに向かって、
「……戦争してェなあ……!!」
泣くようにつぶやく。
脚本の出来はあまりよくないと思う。役者も格としては二番手、三番手の人が多くあまり上手くはない。しかも脚本の出来がよくないのに展開はありきたりという困った映画でもあるのだが、自分にとっては本当に素晴らしかった。
素晴らしいとしか言いようがない。とくにラスト。こういうラストはもう新作映画としては望めないだろうし、やっても陳腐になるだけだろう。
この時代にだけ許されているものだという気もする。
なんでこの頃の映画は、こんなにどこか突き抜けているんだろう。
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