【アニメ映画】・「銀河鉄道999」
1979年
監督:りんたろう、脚本:石森史郎、作画監督:小松原一男、美術監督:椋尾篁、窪田忠雄
あいかわらずアクセス数が伸び悩む当HPである。
当たり前だよな、今さら999の感想なんてだれも読みたくないよな。
でも、書くんだよ。
「鉄郎のキャラクターデザインがブサイクじゃないからイヤだ」と思って当時見ずじまいで、その後も見たんだか見なかったんだかわからなくなってしまったんだがあらためて見たら、これは傑作だね。
今の二十代のアニメファンとかって、これ見たことある? ないなら見た方がいいよ。
あらすじはだれでも知っていると思うから書かないけど、「機械の身体」という、「999」世界では最大の特徴でありネックでもある設定を、実にうまく料理している。もしかしたら意図的なものではなく、奇跡的にいいバランスになったのかもしれないけど。
そもそも、「機械の身体」になるやつが悪いやつなのか? 「機械の身体」になったから悪くなったのか? というのが、マンガ版でもそうだけど最後までなんだか曖昧なのが、「999」になじめない人の理由のひとつなのではないかと思う。
たとえば「機械伯爵」は極悪人だけど、「ガラスのクレア」はとてもいい娘だということになっているし、冥王星で人間の身体を保管している番人の女性も善人、悪人とはわりきれない存在だ。
またトチローが「アルカディア号」となったのは、いったいSF的にはどういう説明がつくのかもまったく明らかにされていない。
しかし、それらのガチャガチャな状態を、本作はギリギリのところで抑えている気がする。まあ、もともと「機械の身体を手に入れる」ということそのものが、SF的な設定にとどまらないきわめて象徴性の高いイメージなのでこうなっちゃうんだろうけどね。
ハーロックやエメラルダスの登場も、単なるカメオ出演にとどまらず、かといってわけのわからない伏線を残すまでもなく、いいバランスである。
これはまあ観た人には言わずもがななんだろうけど、一見主人公に思える鉄郎が、全体のプロットでは狂言回しに過ぎないという部分はあって、基本的にはメーテル、メーテルの母、父たち家族間のドラマにハーロックやエメラルダス、アンタレスといったアウトローたちがからむという構図が非常に安定している。
んだから、基本プロットはむしろ時代劇の「お家騒動」とかに近いんだよね。
りん・たろうとは個人的に相性が悪くて、「幻魔大戦」も「カムイの剣」も「さよなら銀河鉄道999」もぜんぜんいいと思っていなかった。だけど、この最初の「999」と、テレビ版の「キャプテン・ハーロック」はけっこういいんだ。
思うに、もったいぶった演出が「大時代的な、男らしい男」を描くのに適しているんじゃないか。
なお、続編の「さよなら銀河鉄道999」だけどコレはぜんぜんダメで、前作がギリギリ保っていた「機械の身体」に関するバランスを、作品全体で崩してしまった作品だと個人的には思っている。とにかく松本零士が関わる作品は、本人の意図かどうかはわからないが細かいところが大ざっぱすぎて、嫌味な設定オタクが出始める80年代に入ってからはすでに時代とずれはじめてきたかなあという印象はあるね。
松本零士は、SFというよりはファンタジーの人だからなあ。
あ、それと、「1000年女王」と「999」をリンクさせるOAV「メーテルレジェンド」も、このアニメ版「999」のラストのメーテルの正体を知っちゃうと完全なる蛇足にすぎないと思う。この「正体」は完璧。これに付け足すものなんて、もうないでしょう。
「999」は、「西遊記」と同じように、道中のエピソードはいくらつけ加えても、ラストは変えちゃいけない作品だったんだ、と今にして思います。
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