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・「1000年女王」全3巻 松本零士(1995、小学館)

Sennenzyooh

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1980〜83年、産経新聞連載。
1000年に一度、太陽系に接近する謎の惑星・ラーメタルに関係する「1000年女王」と「1000年盗賊」の戦いに巻き込まれた少年・雨森始の冒険を描く。

テレビアニメも劇場版も制作されているが、どちらも観た記憶がないのでそっちのことはわからんです。が、とにかくこのマンガ版に関しては描かなくていいことを描き、描かなくてはいけないことを描いていない印象で読んでいて頭がこんがらがって非常に疲れた。
アニメとの関係性はどうなっているのか知らないが、あまりにも先のことを考えていない印象だ。
やはり松本零士の真骨頂は短編作品にあるのかもしれない(「銀河鉄道999」も、短編の積み重ねだと考えることができる)。

松本零士についていろいろ調べまくっていて愕然としたのが、アニメ化も含んだ「松本零士ブーム」は70年代後半から80年代前半くらいまででほぼ終息しているということ。
もちろん、完全に消えてしまったわけではないが、「ブーム」と呼べる期間はせいぜい5年くらいしかないのだ。

本作はそのブームの終焉に位置する、と言わねばならないだろう。テレビも映画も、思ったより売れなかったらしいからだ(あくまでも「思ったより」で、凡百の作品に比べればヒットしているらしいのだが)。
また999やハーロックが数多のパロディで使われているのに対し、この「1000年女王」だけは作品の性質上パロディにしにくく、それが何となく忘れ去られているように思える理由かもしれない。

思えば70年代前半から80年代初頭の「松本零士ブーム」は、その後のオタクシーンを象徴する出来事でもあった。
たとえば松本零士がことあるごとに作品で主張する「男らしさ」は、80年代中盤から急速にパロディの対象になり始めるし、
アニメ化の際に「松本零士」というマンガ家のブランドを使用する、ということもそれ以降なくなっていく。むしろ富野監督などのアニメ業界に寄った人がクローズアップされるようになる。
(もちろん、松本零士がアニメそのものに積極的に関わったのが、ブランドとされた理由でもある。また、他にマンガ家としてアニメがブランド化していくのは藤子不二雄である。)

またSF的設定を用いてもファンタジー色が濃厚なものから、80年代中盤以降はガンダム、ダグラムなどのリアル・ロボットアニメなど、もう少しハードSFっぽい設定が好まれるようになる。
(もっとも、80年代後半の「J9シリーズ」などを観ていると「ガンダム的世界観」と「松本零士的世界観」の折衷的なSF世界が描かれている。やはり松本ワールドの影響は大きかったのである。)

また、松本零士アニメがブームの頃は「オタク」という言葉が浸透していないが、「オタク」が醸成されつつあるという時期でもあった。私も体験的に知っているわけではないが「宇宙戦艦ヤマト」の劇場映画化を盛り上げたのはオタク第一世代である当時のファンであり、70年代後半から80年代前半に整っていった「ファン活動」のスタイルが、バブルを期に一気に爆発するのである。

まあ、そんなことを思ったマンガでした。ただ繰り返しになるが、いかに多忙だろうがアニメとの兼ね合いが面倒だろうが、やはり松本零士に長編は向かないと思う。

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マンガ単行本」カテゴリの記事

コメント

一部、永井豪にも置き換え可能な話ですよね。
別の所で書かれていた、完結した作品が少ないとか、
せっかく良い形で完結した作品の続編書いちゃうとか
いう所も似てらっしゃる。

投稿: おりた | 2006年12月16日 (土) 15時32分

おりたさん>
確かに似てるんですけど、「アニメ」に対するスタンスが違うのがいちばん大きいのかな、と。
「デビルマン」のアニメ版とマンガ版が違うことに象徴的に表れていると思うんですが、
永井豪はアニメはアニメ、マンガはマンガと区別していましたからね。
その辺まだわかりやすいんです。
松本零士は、ネットで調べて知りましたが「999」も「ハーロック」ももともとアニメ用の企画で、「999」はマンガが人気が出てからアニメ化、という流れだそうです。
だから松本零士はマンガよりむしろアニメに思い入れがあったのかもしれません。
しかし、その関わり方は手塚治虫ともまた違っていて、

たとえば驚くのは「ビッグゴールド」で再開してからの「999」、少年キング版のマンガの続編ではなく、映画だかテレビだかのアニメ版の続編だ、っていうんですよね。

これはわかりにくいと言われてもしかたないです。永井豪にはここまでの混乱はないですね。

「いろんな作品をひとつの話につなげたがる」というのも永井豪と共通してますが、
永井豪の場合はあくまでもマンガがメインで、アニメで似たようなことはあってもそれはそれで別、ということになってます。
松本零士はマンガの続きがアニメになったりアニメの続きがマンガになったり、
それにくわえて「宇宙戦艦ヤマト」の裁判がありますから、
もうグチャグチャでわけわかんなくなってるんですよね。

投稿: 新田五郎 | 2006年12月16日 (土) 19時35分

永井豪さんもさすがにそこまでのはないですが、
後の続編外伝をオリジナルに混ぜて、デビルマンの
文庫出したりしてるんですよねえ。

松本先生ほどじゃないけど、似てるとやっぱり思うんですが。

投稿: おりた | 2006年12月18日 (月) 20時43分

永井豪がデビルマンのエピソードをぐちゃぐちゃに混ぜてしまったのは、手塚治虫が「リボンの騎士」を何度も描き直しているのに近いと思います。
何度も言いますが、マンガだけなら個々の作品がつながっていても追うのは簡単ですが、アニメの続きがマンガになって、マンガの続きがアニメになって……となるとよほどのファンでなければ把握しきれません。
はっきり言ってここまで作品関係を複雑にしてしまう人を松本零士以外に知りません。
(水島新司もここまでぐちゃぐちゃではないはず。)

投稿: 新田五郎 | 2006年12月19日 (火) 03時51分

今更のコメントといえばコメントですが、永井豪の場合は自らをストーリーテラーというよりも、キャラクターメーカーと任じているようなところがありますわね。コトにアニメ化作品の場合は。

それって多分師匠の石ノ森のスタイルと通じるんでしょうけど、アニメが産業となってから参加しているせいか、企画の一スタッフとして参加しているムードがある。(だから『デビルマン』や『えん魔くん』みたいにリンクとかアニメ側とのクオリティ統一とか平気でシカトできる)

松本先生の場合はヒト世代上の参加者が遅れてきちゃったような側面があるじゃないですか。世代的には手塚とかうしおそうじ、吉田竜夫の方が親和性が高いんじゃないかと。もっとアニメ企画に対して「全能感」をもってしまうというか。

そうすると、石ノ森・永井のようなアニメ企画へのスタンスについて理屈の上では知っていても、作品への距離感を取りあぐねてしまうんではないかと。

…と宇宙戦艦の件見ると思ったりするんですがどうですかね。

投稿: ふりーく北波 | 2007年2月24日 (土) 07時37分

ふりーくさん>
>>松本先生の場合はヒト世代上の参加者が遅れてきちゃったような側面があるじゃないですか。

それは私もあると思いますねえ。
今でも印象に残っている80年代前半の松本零士のインタビューで、「アニメは自分が作者だと主張し続けていないと、だれの作品かわからなくなってしまう」というコメントがありまして、おそらくマンガ以上に産業的な製作工程であるアニメに違和感を感じつつ、必死に「抵抗」していたんではないかというふうに思うところはあります。

余談ですが同じ時期のアニメ誌に「ゴッドマーズ」アニメ化の際の横山光輝のインタビューが載っていまして、そっちは「いったんヒトの手にわたったら別作品ですから面白くしてもらえれば」と非常に淡泊だったのが、子供心に「同じ原作者でもここまで違うのか」と思ったというのはあります。
まあ受け手としては、どちらがいいと言えるものではありませんが。

投稿: 新田五郎 | 2007年2月24日 (土) 09時06分

>受け手としては、どちらがいいと言えるものではありませんが。

どちらが、というかココの先生のあり方含めある意味「ネタ」として楽しむしかないかなあ、とマンガ読みとしては思うです。横山先生はホントアニメに関しては外様な印象があります。『サリー』にしたって我が道行ってますしね。

『デビルマン』改悪の件は流石にご本人に伺うワケにも行かないので個人的な想像ですが、アレを施した時期の商売的な要請に応えたつもりが、墓穴…というようにも見えます。『デビルマン』はある程度時を越えて有効なブランドですが、『新デビルマン』は原作付きだし鬼っ子のまま忘れられる可能性のある作品ですから。

投稿: ふりーく北波 | 2007年2月25日 (日) 03時18分

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投稿: Ben | 2007年5月14日 (月) 01時43分

投稿: Bob | 2007年5月19日 (土) 21時54分

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投稿: Ben | 2007年5月24日 (木) 09時46分

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投稿: Ann | 2007年5月25日 (金) 06時40分

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投稿: Bob | 2007年6月 3日 (日) 06時57分

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投稿: Rokky | 2007年6月20日 (水) 11時42分

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投稿: Bob | 2007年6月21日 (木) 10時48分

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