・「とんがり焼き」を食いまくれ
授賞とは何の関係もない話。村上春樹の短編集というかショート・ショート集というか、コジャレた小品集に「カンガルー日和」というのがあり、その中に「とんがり焼きの盛衰」という話が収録されている。
自分はこの話が好きで好きで、最初読んだときはゲラゲラ笑ってしまった。
簡単に言うと権威とか権力が、ちょっとしたことからグチャグチャに崩壊してしまうという話である。
何で自分はこんな、世評的にはたいして評価もされていない、冷静に考えても村上春樹の作品としていちばん残らないっぽいこの作品が好きなのだろうか。
ただ世の中には「胸のすく崩壊」というのがあって(もちろん「最悪な崩壊」というのもある)、それがどんなに幻想だの夢だの自分に甘えてるだの非モテだの嫌オタク流だの言われても、ゆるぐことは無かった。
規制権力の崩壊をうたったこの作品を読んでも、実は村上春樹の小説は「羊をめぐる冒険」まで、東映任侠映画的クライマックス主義を貫いていたことは自明である。
(以前、ネット上で「村上春樹の小説の一部は任侠ものである」と書いたら、「ダンス・ダンス・ダンス」がそうだ、と言われてしまった。人それぞれだろうが、自分にとっては「ダンス・ダンス・ダンス」は小説としての出来は別にして、クライマックスというか破壊、崩壊のカタルシスを味わう小説ではない。このときは踏み込んでネット上でコミニュケートしなかったが、次回があればもう少し詳しく説明してみたい。)
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