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・「餓狼伝」(18) 夢枕獏、板垣恵介(2006、講談社)

Garouden18

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イブニング連載。
もう19巻が出ようってときに何だ、って思う人いるかもしれないけどね、感想書きますよ。

最近あらためて思うんだけど、スーパーマン同士の戦いになりすぎてしまった「刃牙」のシリーズと比べて、この「餓狼伝」は、いろんな質の違う「強さ」を比べてみて、その比較と物語全体での統合によって「真の強さとは何か」を考えるという方向性が明確だと思う。
だから面白いんだと思います。


作者の板垣恵介は、格闘マンガ家としては珍しく梶原一騎の影響をあまり受けていないらしい人なんだが(実際、負け惜しみでも何でもなく本当に影響を受けていないんだと思う)、梶原一騎の考える「強さ」というのは、おそらく「権力」とゴッチャになったものだった。
「世に出るための手段」としての格闘技と、戦後焼け跡闇市の暴力性・権力的なものがミックスされている。

「空手バカ一代」が「宮本武蔵」をカヴァーしたものであるのは読めばすぐわかる。梶原一騎は実践者、あるいは実践者のそばにいた人だけに着地点が実際の権力・暴力に近いところに落ち着いていく。
言い方を変えれば、いい意味でも悪い意味でもなく最終的に生活基盤という泥臭さの中から哲学的な部分が出てくるんだけれど、
夢枕ー板垣ラインというのは、やっぱりU系世代というか、悪い意味ではなくより実験室でシミュレートしたかたちがどうなるかというバトルの純化、そしてそれプラス「哲学」への昇華というのが感じられる。

でなければ、伝統派空手を出場させるなんてことはしないはずだから。

人間に差がある以上「強さ」の度合いや基準が存在し、しかしそれでもなおかつ純化された、格闘技などまったくやらない人間にも宿っているはずの「強さ」に肉薄していくというかね。
まあ、そんなことを感じました。

17巻の感想

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