【アニメ映画】・「NEWハル&ボンス」
ソファーに座ってビールをダラダラ飲むハル&ボンスとその間にモチ君が入る固定カメラで、3人がダラしゃべりをするという短編CGアニメ。
同じシチュエーションのアニメが何回も繰り返されることになる。DVDマガジンでの連載企画で、毎回少しずつ見られるならまた印象が違ったかもしれないが、劇場で旧作が5話くらいか、さらに新作が9作流されるというのは正直言ってついていけませんでした。途中で映画館を出た。
そもそも、劇場でかけるタイプの作品ではないね。それこそパソコンのモニターで、仕事の合間にでもちょこちょこっと見てクスリと笑う、そのためにつくられたものだろう。
まあ、だから私と出会いが悪かったかな、ということは言える。
しかしことは個人的にそれだけではおさまらない。
私は石井克人の作品は「茶の味」と「ナイスの森」しか見ていないが(あと「キル・ビル」のアニメ部分?)、彼の目指しているものって「笑い」ではないと思う。「笑い」の斜め上を行く「何か」だ。
だがそういうのはひとつ歯車をかけ違えるととんでもなく高踏的なものに映るし、現にそういう印象で石井作品を見ている(あるいは見ていない)人も少なくないのではないかと予想する。
本作「ハル&ボンス」は、「茶の味」や「ナイスの森」に出てきたオチがあるようなないような「ムダ話」だけを切り取ってアニメにしようとしたものだと思う。
3人の会話はたぶんアフレコが先で、それにCGを調整して、というふうにやっていると思う。そういうダラダラ感もきらいではない。
しかし、いかんせん会話が「わざと爆笑を避けているのではないか」というところがものすごく気になる。友達同士のグダ話にギリギリ接近し、「ネタ話」になるのをまたギリギリで回避し、「犬ともち」という面白い関係も膨らむ寸前で止め、声優同士の内輪ばなしになりがちなところもまたギリギリで止めている。
だから見ていてとてもイライラする。
この感じは映画「ナイスの森」の、冒頭の漫才に感じていたものに非常に近い。
吉本&松竹系の笑いがスタンダードな昨今、この手の作品に必ずしも1分に必ずひと笑いは取れ、みたいな強迫観念はいらないとは思うが、ちょっとこれを連続して見せられるのは辛い。
とにかく、ある種の着地点をすべて回避しているのだから、終わりのない物語をえんえんと見せられているようなものである。
上映館で「桃太郎 海の神兵」との同時上映というセンスもすごい。何かの悪意を感じる(笑)。
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