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【映画】・「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」

1973年、東映京都
監督:中島貞夫、脚本:金子武郎

女が欲しくて欲しくて仕方がないが、声をかけても笑われるだけの根暗青年(荒木一郎)は、今日もアパートの一室でヤリまくっている男女を憎み続けながら爆弾づくりに励む。
ある日、美しいスウェーデン娘(クリスチナ・リンドバーグ)が自分の車に間違えて乗り込んできたことから始まる、恐くて哀しくて滑稽な密室劇。

ラピュタ阿佐ヶ谷でのレイトショー上映最終日、ゲストに来た荒木一郎本人についての感想などを交えて。

その日は、やけに混んでいて30分前に行ったのにすでに「補助席になりますがいいですか?」と聞かれた。
最終的には満員になり、入れないお客さんもいた。
おかしいおかしいと思っていたら、最終日ということで荒木一郎本人が来るのだと知ったのはトークが開始直前になってからであった。

私がこの人に俳優としての興味を持ったのは、今年に入ってから「女番長」シリーズを観たからというものすごい最近の話。
東映の昔の映画はちょくちょく観ていたがなぜそういうことになったかというと、どうも監督の中島貞夫とは仲が良くて、深作欣二作品にはまったく出ていないのがその原因らしい。「仁義なき戦い 代理戦争」の「手首をつめてしまう下っ端やくざ」に最初にキャスティングされていたが降りてしまったのだという(後に川谷拓三に決まり、強い印象を残す)。

今現在の荒木一郎は、年相応に老けてはいたが腹はまったく出ていなかったし、おしゃれのことはよくわからんがおしゃれだと思わせる格好をしていた。
そして何よりタレサンをかけていた。やはり70年代の東映の映画に出まくった人間にはいつまでもタレサンをかけていて欲しい!! と思い、心の中でニヤリとした。
トーク内容は、たぶん「映画秘宝」に載ったものと被っていただろうけど、2006年の現在、どういうふうな感じの人なのかというのが映画を観ながら非常に気になっていたので、その部分が多少解消された気はした。ネットで調べても、簡単にプロフィールとか出ない人なんだよね。

俳優や歌手として現役を退いてから何をしているのかぜんぜん知らないけど、前線を引いた気楽さでいろいろしゃべっていた感じだったかな。
30代くらいの女性ファンがたくさん見に来ていた。

1時間弱のトークライブが終わった後、荒木一郎本人も鑑賞しながら「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」の上映。
内容は、アメリカン・ニューシネマチックな、それでいて70年代日本の泥臭さを多分に持った、私好みのいい映画でした。

なんでも「別の映画のために来日したクリスチナ・リンドバーグの滞在期間があまったのでもったいないから撮った」ということらしい。詳細は知らないが、そのわりには「スウェーデン娘と青年はまったく言葉が通じない」という設定をうまく活かしてあった。
監禁レイプしてしまった娘に愛情を感じてしまい、一人英語の歌を歌っている娘を陰で見て「里心がついて故郷の歌を歌っている」と思いこむ青年。スウェーデンの国旗を飾ったりシャンパンを買ってきたりと、見当違いの慰めのために奮闘する青年が泣ける。

まあ、本作を観て「実に男に都合のいい話だ」と思う人がいてもそれはわかるんだけど(レイプした女から次第に愛されていくとかね)、それは時代性を考慮しないといけないと思いますよ。たとえば「タクシー・ドライバー」のトラヴィスもそうなんだけど、いきなり今現在、あそこから観るとなんだかわかんないかもしれないよね。
でもそれは、実はモテ・非モテとかいった用語とは近いようであまり関係はない。むしろそういう考え方はテーマを矮小化する視点ともいえる。
「モテない人がいるから問題だからどうしよう」って話じゃまったくないわけでしょ。人間同士の距離感の問題で、さらに言えばそういう距離感って問題視される前にもあったかもしれないけど、それが問題視される、「発見される」ということに時代の変化があるという見方もできる。

要するにどういうことかというと……説明しようと思ったけど面倒だからやめた(笑)。

ただ、ポルノチックなタイトルは監督の意向でも何でもないそうだけど、男の観る映画と女の観る映画がかなりはっきり分かれていた頃の作品ではある。というか、むしろ恋愛映画以外で男女一緒に観ることを配慮されるようになったのって、たぶんごく最近のことなのである。

そういう意味ではまあこの映画は徹頭徹尾「男のファンタジー」ではあるし、むしろまったくの願望充足に回収されないのが、私としてはカッコいいと思うんだけどね。

あるいは青年がスウェーデン娘に気に入られようと思って空回りする、それにある種の感慨を得るかどうかで評価が変わってくるだろうね。

そこら辺に何も感じない人は、観なくていい映画ではある。

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コメント

荒木一郎が

>現在、どういうふうな感じの人なのか

ということになると、この本のことを思い出さざるを得ません。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4195032458/250-2593209-0417010?v=glance&n=465392

「ビッグ・ビジネス!」
エガちゃんの声が聴こえてきそうです。

2006年の今でも、コレをやっているのかどうかは知りませんが。

*

「俳優・荒木一郎」には『悪魔のようなあいつ』のイメージしかない私ですが、
むしろ「歌手・荒木一郎」のほうが好きですね。
それよりも「DJ・荒木一郎」のほうが好きだし、
いちばん好きなのは「小説家・荒木一郎」だったりします。

投稿: 石川誠壱 | 2006年8月23日 (水) 09時13分

確かに「ビッグ・ビジネス」に関しては、気になるところではあります(気になるというか、関わり合いになるのが面倒だと思ってしまうというか……)。
小説も読んでみたいんですが、入手困難ですかね。
トークライブでは、「直木賞を狙おう、と編集者といろいろ考えたが、審査員が五木寛之である以上取れないだろうと思ってやめちゃった。ボクはあの人のジャズ小説はわからないし、あの人も自分の小説はわからないだろう」と言っていました。

映画を観て思ったんですが、この人決していわゆる二枚目ではないけど、もんのすごい女性にモテたんじゃないかな、と思わせるところがあって、
しかも歌手としても一流でコイン・マジックやってて……とすごい謎、というか今でいうマルチタレントのハシリだったんでしょうね。

投稿: 新田五郎 | 2006年8月23日 (水) 18時40分

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