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・「80年代にひたりたくない!」

さて、いつも「80年代にひたりたい!」という自称コーナーというか、コンテンツ化されていないミニコーナー的なものを立ち上げている私ですが、
もちろん、これは私の周囲の人の中で、80年代を嫌っている人が多いから、という挑発的な意味がある。
それではもう1回転ひねって、私自身が「80年代にひたりたくないなぁ」と思う部分はどんなものか、書いてみようと思い立った。

まず自分にとって80年代のうち、もっとも輝かしいのはせいぜい85年くらいまでだということだ。
古い本で手に入りにくいかもしれないが名著であると思う別冊宝島「80年代の正体!」では、主に80年代半ばからバブルへの道をたどる80年代後半について語られていたと記憶する。
「80年代の正体!」が、80年代前半を「いい時代」としているかどうかはわからないが、少なくとも後半に関しては、私とほぼ見解は一致する。

現代の若者の80年代観(そんな時代に興味があれば、だが)をほぼ決定づけているのは大塚英志だろう。
大塚英志も、ざっくり言って80年代後半的なものを「80年代」と言っているような気がする。
彼の著作に関しては、若い人の間で「80年代サブカルチャー史の決定版」的な誤解を与えているように思う。むろん、そこに一定の成果は認めるが、「正史」というにはまったくほど遠い、ということは指摘しておかなければならない。

80年代半ば、「少年キャプテン」というマンガ雑誌があった。85年創刊だというから、まさに80年代後半を代表する雑誌である。
安彦良和、永野のりこ、島本和彦、あさりよしとお、高橋良樹など、現状メジャーシーンで活躍しているマンガ家に道を切り開いた雑誌であり、確か永野のりこかだれかが「自由にやらせてくれた。ああいう雑誌はもうないだろう」的なことを言っていた記憶がある。

だが私の個人史としては、「少年キャプテン」が出てきた頃はもう確実に何かが終わっていたのである。
それ以前(発行時期が重なっていたこともあるかもしれないが)のSFマンガ誌、「マンガ奇想天外」とか「SFマンガ競作大全集」とか「リュウ」とか、そういうところにあるいい意味での文芸っぽさが失われていくのを見ているような気がしていたし、
「人気SFマンガ→アニメ化」というルートがメディアミックスとして確立されていった時期ではないかと思う(メディアミックスの経緯とかはよく知らないんだけどね)。
ただ、いつだかのキャプテンの新連載マンガの広告で、
「だれかOVAの企画を持ってきなさい!!」
というのがあって、メジャー誌掲載でなくても人気のあるマンガはOVA化すればアガリ、みたいな雰囲気が出来つつあったとも言える。

80年代は、「美少女」が急速に記号化されていく過程でもある。
たがみよしひさが、憎々しげにいわゆる「アニメ美少女」の絵柄の没個性についてどこかに描いていた記憶があるが、それ以前の「マンガ奇想天外」とかに描く人だったわけだよねたがみよしひさというのは。
80年代というのはオタク的にも至るところに踏み絵があって、そのたびに意見表明しなければいけないようなところがあった。
たがみよしひさとかとり・みきとかにとっては、「気持ち悪いオタク」との線引きが自分にとって必要だったのだろうというのはよくわかるのだった。

でも、そういう偏微分な違いでいちいちセンスを競う、イヤな時代だった気もするね。
いやそんなのいつの時代もそうなんだけどね。
オーケンとか、なんでいつの間にオタク側に立って語ってるんだろうとか、本当は「?」と思う。

ま、そんなことはどうでもいいけどね。

「時代」における本当の絶望というのは、時代そのものにあるのではなくて、そこから取り残された自分自身にあるんだ、っていうことをものすごい勢いで若者が認識させられたのが80年代じゃないかという気はする。

それまでは、貧乏だとか不幸を時代のせいにできた。
だけど、80年代からすべて自分の責任になった。それこそ自己責任。

「負け犬」なんて言葉は、結婚が自己責任の時代でないと出てこないからね。

ただまあ、「ニート」や「格差社会」なんて流行の言葉を見ていると、また「時代」とか「社会」が人間をつくる時代なんだ、っていうふうになるのかなあとも思うけど。

飽きたので終わり。

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コメント

どうでもいいのですが、リュウが復刊されるらしいですね。廃刊でなく休刊だったのかしら

投稿: _ | 2006年7月 9日 (日) 13時41分

コメントが遅れてたいへん申しわけありません。
バタバタしてまして……。
「リュウ」は個人的に思い出深い雑誌ではあります。
以前「マンガ少年」というタイトルの、「漫画少年」とは関係ない雑誌が出たことがありますが(「火の鳥」などが載っていた)、そんな感じになるんでしょうかね。

投稿: 新田五郎 | 2006年7月25日 (火) 18時26分

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