【映画】大奥浮世風呂
1977年、東映
監督:関本郁夫、脚本:田中陽造
悪さのしすぎで坊主に身をやつしている志賀勝。彼は、中世のアナーキー性をそのまま映像化したようなシュールな悪所(としかいいようがない)にいつもたむろしている(いや中世に大奥は無かったと思うけど……)。
そんな仲間たちの中で娼婦をしていた娘が、侍の養女になり、そこから大奥へという成り上がり道を歩むことになった。
この娘に、大奥でのライバルの女を流産させよと命令された志賀は、便所の中に隠れて蛇を出すことにより、ライバルの女を驚かせて子供をおろすことに成功する。
大奥では男の子を産めば権力は増大し、子供を産めなければ軽んじられる。成功への階段をのぼることを約束され、なおかつそれを事故による流産によって剥奪された女は、発狂して志賀たちがたむろしている場所までやってくる。
志賀は、便所の中から眺めていた時点でこの女を愛してしまっていた。悪行のかぎりをつくしてきた志賀は、狂女となったこの娘を家で預かることにするが……。
まあ、なんてことない話と言えば話だが、どこかの解説にあったように、関川郁夫の描く世界では「聖と賤」が対照的に描き出され、「聖の中の賤」、「賤の中の聖」が描き出されている。
ラストは、まあ予想どおりと言えば予想どおりだが、このようなルサンチマンの表出が無くなってから、すべてのエンターテインメントは本当に面白くなくなった。
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