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・「デトロイト・メタル・シティ」(1)  若杉公徳(2006、白泉社)

Dmc

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とにかくミクシィ日記なんかを見ると、周辺の人が「キミキス」やってるか本書を読んでるかということになってまして、ブームには乗り遅れたけど読んでみたよ(たぶん「キミキス」はやりません)。

殺害、レイプ、ファックを連呼するデスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ(略称:DMC)」は、ヘビメタファンからはカリスマ的な人気を誇っている。
その中でもヴォーカル・クラウザーII世は、両親を殺害し、「音楽に出会わなければ猟奇殺人者になっていた」という伝説を持つ男。毎回のライブでは狂乱のパフォーマンスでオーディエンスを興奮状態にもっていく。

しかし、その正体はおしゃれバンドがやりたいフツーよりも気弱な青年・根岸崇一。どういうわけか自分の望まない方向、望まない方向に人気が出て困り果てている。ふだんは素性を隠しておしゃれフォークで路上ライブなんかもやっている(が、客はDMCとは裏腹にまったくいない……)。

要は、そういうギャップを面白さに持っていくギャグマンガ。急に思い出したがもう20年以上前、「ビートたけしのオールナイトニッポン」において「ヘビメタコーナー」というのがあって、「街で見かけたヘビメタ青年がいかにいい人だったか」をハガキで報告するというものだったが、やはり歳月を経てもこういうギャップというのは面白く感じられるものなのだねえ、と感慨深い。

もうひとつ思ったのは、現実に、ガチで恐れられ、なおかつメジャーシーンにも首を突っ込もうとするヘビメタバンドなど、日本には存在してないと思う。おそらくDMCのモデル、あるいは読者が漠然と思い浮かべる現実のバンドは「聖飢魔II」だろう。
その聖飢魔IIでさえ、デビュー当初から「そういうバンドにありそうな言動・行動のパロディ」ということになっていた。

しかし、本作に登場するDMCの受け取られ方(本当に殺人をしたことがある、とファンに思われているなど)は読んでいて実に爽快なことも確かで、
「ウソと思いつつも信じてしまう、信じてしまうけどウソなんじゃないかと思う現代人の感じ」をマンガ全編通してよく表していると思った。
コレは、私はバンドのことはよくわからないが格闘技なんかでも同じで、路上で一般人にブン殴られた総合格闘家のマッハにがっかりしてしまったり、逆に極端にフィクション性の高い(フジテレビが手をひくとか言っていて最近いろいろと騒がれている)「ハッスル」という興行の形態に人々が感じるロマンに近いものがあると思う。

もうひとつ、個人的に面白いのは根岸青年が「おしゃれ」と感じているものの数々。コッチにもリアリティがなければDMCの過激さとのギャップにならないわけだが、要するにかつての90年代渋谷系、ってコトなのね。
DVDでは「アメリ」しか見ないっていうのには笑った。

巷では本書の単行本不足がちょっと騒がれたけど、このマンガを読むときに感じる感覚は、ロードウォーリアーズとかが出てた頃のプロレスとかを見る感じに近いなァ。大勢で見た方が盛り上がる感覚、っていうか。

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コメント

未だにヘビメタでギャグというと、聖飢魔IIと元気が出るTVの手法に沿ってやるしか無いのですなあ。演出の過剰さと普段のギャップに笑うという。そしてそれが結構今でも通用するのですね。

投稿: | 2006年6月10日 (土) 19時58分

まあ、そういうことですね。

投稿: 新田五郎 | 2006年6月14日 (水) 09時11分

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