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・「とっても!ラッキーマン」全16巻 ガモウひろし(1994〜97、集英社)

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週刊少年ジャンプ連載。
宇宙一ついてない中学生、追手内洋一は、「幸運の星」に守られいつでもラッキーで勝利するスーパーヒーロー・ラッキーマンと合体、地球や宇宙の平和を守るヒーローとなる、というギャグマンガ。

個人的には、ジャンプを読んでいないどころか何が連載しているかもほとんど知らない時期の連載であり、なおかつ絵柄からして「ついでにとんちんかん」みたいなマンガなんだろうと勝手に思い込んでいたため、実はリアルタイムで1ページも読んだことがなかった。

さて、一時期、巷をにぎわしたのが、

「デスノート」の原作者、大場つぐみ=ガモウひろし説

である。
検証としてネームの特徴などがネット上で指摘されていた記憶があるが、まあ勘だけで言うとお話の組み立てを見たら明らかにガモウだよね。
少なくとも、チーム編成だとしたらスタッフにぜったい入っていると思う。
まあ、まったくの想像だけど、ネームで原作書いて作画者に渡しているくらいの深い関わりだと、何となく思いますけどね。

本作を知っている人は「今さら何言ってんだ」と思うかもしれないけど、ラッキーマンって伏線の貼り方が異常なほど綿密なんだよね。偏執的。絵柄があまりにテキトーだから、ストーリーもテキトーだと思い込んでいたらぜんぜんそんなことないんですよ。

まあ、たぶん本作がやっていた時期というのは、「すぐ天下一武道会になる」、「人気があるとダラダラ続く」というジャンプパターンが最も批判的に見られていた時期でもあり、バトルものとしての注目度は、本作は二番手、三番手だったと思うから、その辺気づかれずにスルーされてきた可能性は高い。

もうひとつ、読んで面白いのはラッキーマンの強敵「世直しマン」の考え方。これって、そのまま夜神月の考え方に近いですよ。

もっとも、「世直しと称してディストピアをつくり出そうとする人物」が悪役として登場するのは、これは世代的なものとかもある。一人ひとりがそういう思考ルートをたどって行き着いたわけではないと思うけど、何度も書いてるけどまず70年代の「政治の季節」の挫折がある。
ここで世の中が変わらなかった、という挫折感。それは権力の強大さと、動かなかった大衆への不信感につながっていき、「それならば、愚民を迫害するかコントロールするかして世の中を変えてやろう」という発想につながっていく。

それを、おそらく作者一人の「表と裏、正義と悪」として描いた代表的作品が雁屋哲の「男組」である。その後80年代を通じて「一部のエリートが大勢の愚民を操って理想国家をつくる」(その中には愚民そのものを抹消するという選択肢も含まれる)という悪役が、エンタテインメントに多く出てくるようになる。

「デスノート」が画期的だったのは、そうした思想の持ち主を「主人公」にしたことなんだろうね。どうも、デスノファンは夜神月に感情移入している人が多いみたいだし(私はマジメで人間らしい刑事たちが好きです)。

で、その夜神月の思想そのものが、果たして「デスノート」の本当のテーマだったかどうか、でデスノ評価って分かれると思うんですよ。単なる架空のルールを厳密に設定したゲームのマンガにすぎないのか、作者本人はどう思っているのか?というのが、気になる人も多いのではないかと思う。

「世直しマン」の話に戻ると、
確かに、前述のとおり、「世直しマン」的悪人というのはそれほど珍しくはない。だから世直しマンだけをピックアップしてガモウひろしの思想にせまることはできないんだが、言葉では言い表せないが(言い表せていれば私は評論家になってますよ(笑))、たぶんガモウ自身はそういうことを半ば本気で考えていたのではないかと。

もちろんそれが全部ではなくて、相対する存在として、ラッキーマンをはじめとしたヒーローたちの「いいかげんさ」や「猥雑さ」が生命力、あるいは可能性として描かれるんだけどね。
「デスノ」をガモウ作品としたとき、その「いいかげんさ」や「猥雑さ」の魅力というのは「L」という、月の裏返し、あるいは同族のような存在がクローズアップされたぶん、なりを潜めている。
そのバランスが、「デスノート」という作品に対して「ホントにこんな悪人を勝手に裁くマンガなんて描いていいのかよ」という一部の雰囲気につながっているということは言えると思いますね。

さらにデスノの話になると、そうした「いいかげんさ」、「猥雑さ」を担当しているのって、月の側にいるミサミサなんだよね。この辺が、まあいろいろ考えていると面白いわけです。

ありゃ、またデスノの話になっちゃったな。まだメロとニア編をきちんと読んでないのに……。

また「世直しマン」の話に戻る。
「世直しマン」が敵として登場していたのは、単行本で7巻までで、全巻読んでみて、急に失速するということはなかったけど、個人的に本当に面白かったのって世直しマンと戦った7巻までだと思う。
実は15巻が手に入らなくて1000円出して買ったんだよね……そうしたら、この間「まんだらけ」で売ってましたよ15巻。200円くらいで。

正統な読み方ではないかもしれないけど、とにかく「大場つぐみ=ガモウひろし」って仮定して読むと、より楽しめてしまうことは間違いないんだよね。
ヒロイン「みっちゃん」や洋一のママなどの女性キャラも、どこかミサミサっぽいんですよ。

あ、最後につけくわえると、
私の好きなキャラクターは「スーパースターマン」と「努力マン」と「勝利くん」です。

やっぱり頑張ってるやつといいかげんなやつが好きなんだ。マンガの中では。

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