・「僕の小規模な失敗」 福満しげゆき(2005、青林工藝舎)
「アックス」連載。
女の子にもモテず、いい学校にも入れず、アルバイトもうまくいかない、年がら年中悩んでいる青年の日常を描く。
いやーこれはものすごく面白いね。
なんかねー……マジメさを感じる。
定時制の高校で、卒業式に号泣している、友人になれそうでなれなかった青年のところとかホロリとしちゃいましたよ。
柔道部をつくる話しも面白いしねえ。
あと、第16話「持ってるマンガを全部売るの巻」で、女の子とデートしているときに、やることないからってマンガを描かせる! そして持ち込みまでさせる! この展開にはビックリした。いちおう相手は音大に行ってるコという設定になってるけど……。
主人公はとことん気が弱そうなのに、突発的にこういう大胆なことをするのがすごく面白い。
そして第17話「サラリーマンになりネクタイをするの巻」。これには正直、驚いてしまった。
もしかして、掲載当時は何らかの補足情報があったのかもしれないけど、17話から最終回(?)の18話までの展開を読んでから、過去のストーカー呼ばわりされる女の子との話の展開を読み直してみると、主人公のかなり違った人物像が浮かび上がってくるんですよ。
それがものすごく面白かった。
しかもこの展開には重要な意味があると思う。結局、自信のあるなしって根拠がないんだという、まあひとまずは単純な教訓が導き出されるんだけど、もうちょっと深いことを考えれば本作の中に出てくる「しかし人生は続く」ということになるのだろうなあ。
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コメント
「火、持ってる?」という男の子の話・・・・いいですね。二人とも、すごく純で、グッときました。純てのも、古い言葉ですけどね。
美容師になる友達がいい味出してるな、と思います。「ファイト・クラブ」ごっこにものすごく心がなごみました。
暗いのに、どこかほっとするところがありますね。柔道部をつくるところとか、下宿に雪が降るところとか。
投稿: といち | 2006年3月12日 (日) 23時59分
やっぱり「ダメ」っていうのは真剣にとらえるより、「ギャグとしてどうあやしていくか」ということが大切だと思うんですよね。そういう意味で福満さんはすごい人です。
既刊単行本を今頃レビューするのはタイミング的にはちょっと恥ずかしいんですが、まあ傑作なんだから仕方ないですよね。
あとコマが小さいのに見やすいのがいいなあ。
投稿: 新田五郎 | 2006年3月13日 (月) 21時05分