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・「まだ旅立ってもいないのに」 福満しげゆき(2003、青林工藝舎)

madatabi

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「ダメ人間」って言葉をつくったのは大槻ケンヂなのかな。
とにかく「ダメ人間もの」みたいなジャンルがありますよね。
で、まあ太宰治とかそういうのは私は知りませんよ。
でもマンガにおいては、「ダメ人間もの」って結局はギャグセンスが問われると思うんですよ。

永野のりこ然り、山田花子然り、あびゅうきょ然り、小田原ドラゴン然り(ヤンマガ系が多いな)。
私は「ダメ人間がどうやったら生きていけるか」とか、そういうのはあまり興味がなくなってきてる。
それはもう、けっきょく社会システムでどうにもならなかったら、他のところで何とかするしかないわけで、個別具体的な問題になっちゃうから。

ただ、ギャグセンスとかユーモアのセンスのある人間は生き残れるんじゃないかとは漠然と思ってますよ。
#まあ、ときどきギャグを突き詰めすぎて自殺しちゃう人もいるんだけど。

それで本作。結論から言うと、面白い。
で、自分より若い作家の「自分をダメと思う気持ち」において、かなり「わかる、わかる」っていう部分があった。
たとえば、この作品では女の子はほとんどの場合、あこがれの対象であると同時に裏切る存在。
それがすごくイマ風だなと。

20年くらい前だと男性の描く女性って、どんなにリアルに描いてもどこか理想化しているところがある。
「絶望している自分」とは切り離されたところで、ピュアの象徴みたいな感じで女の子が出てきたりする。本作ではそれがない。もうそういう時代じゃないんだろう。
でも、露悪的に描いてやろうってんじゃなくて、女の子のキャラクターはかわいく描いてある。
だから、かえってどこかリアリティがあるね。

あと、弱いものばかり出てくるけどどこか妙に打たれ強い面もあって、ダメ人間を描くときにハマりがちなナルシシズムや、極端な方向へ走る絶望感というのがない。

これはもう、漠然とした表現をすると「その空間を掴む芸人」みたいな感じで、その人が出てきて空気感が決定する、というような感じ。つまり違う人が同じことをやってもたぶんだめなんだろうな。

なんか、そういうところが面白いと思いましたよ。

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